GA4とはそもそも何なのか?

GA4導入支援

■ 2022年7月1日までにGA4の導入を済ませるべき理由

定番アクセス解析ツール「Googleアナリティクス」(GA)が変わります。これまでのバージョン「ユニバーサルアナリティクス」(UA)は来年23年6月末で新規データの取得を停止、その後半年くらいで過去の集計結果にもアクセスできなくなるとされています。

無料で非常に優秀な集計ツールでしたが、なくなってしまいます。

そこで、新しいバージョン「GA4」に乗り換えなければなりません。「まだ1年あるからそのうちに」と思っていると困ることになります。その理由は2つあります。

第1にGA4はこれまでのUAとまったく見かけが変わり、慣れないととても使いにくいです。早く導入して使い方を研究しておく必要があります。

これだけならまだ23年7月以降に勉強すれば良さそうな感じですが、問題はもう1つあります。

第2の、最大の理由は「旧UAのデータがGA4には引き継がれない」ということです。GA4は、GA4を導入したタイミングからのデータしか見られないのです。これまで長年UAで蓄積してきたデータはすべて失われます。

ユーザーが蓄積してきたデータはユーザー側の財産であって、これをベンダー側の意向で勝手になくすのは大変無責任な態度であると思います。

企業は常に、前年同月のデータと直近のデータを比較しなければなりません。

これに対処するには、今のUAと並行してGA4を使い始めることしかありません。23年7月の時点で22年7月のデータと比較をするためには、22年6月末までにGA4を導入しなければなりません。

GA4の教則本も出てきていますから、各機能の解説はそちらをご覧いただくとして、ここではGA4の考え方と、自分たちのサイト分析で忘れてはいけないことについてまとめておきたいと思います。GA4の教則本を複数見ましたが、「新機能」や「GA4の考え方」に引きずられて、大事なことが欠けているように感じられます。

■ GA4の主な変更点と、安心できること

GA4で変わったのは、次の5点です。

1)GAの画面上でクリックするだけで見られるレポートが減ったこと。その分、「探索」という自分で設定して詳細レポートを作成できる機能ができました。これまでのカスタムレポートの存在感が増したという感じです。

2)対象者を「セッション」(訪問)単位ではなく、「ユーザー」単位で分析するのが基本になったこと。これは肝心要なので、後ほど解説しましょう。

3)広告との連携が強化されたこと。Googleの商売なのでしょうがないのですが、一般にあまり広告をしない、圧倒的多数の日本のB2B企業にとって関係ありません。

4)アプリとホームページの連携が強調されていること。同じユーザーがアプリを見てからサイトに来た、といった状況を連続的に見ることができます。これもアプリなど使わない圧倒的多数のB2B企業には無意味です。もちろん、GAがそうなったからといって、「うちもアプリをつくるか」と考える必要などまったくありません。

レポートや集計項目に慣れないアプリ関連の言葉が入ってくるので、それに慣れるようにしましょう。

5)サイトの構造やページの性質により無関心になったので、サイト改善に使いにくくなった。これも大切ですから後ほどご説明します。

見た目や言葉遣いが大きく変わって、ウェブ担当者があわてることは必至です。これまでページが見られた回数を「ページビュー数」と呼んでいましたが、「表示回数」と呼ぶだけでもずいぶん違いますね。

でもご安心ください。結局GA4のデータ送信プログラムは、これまでのUAと同じようなデータを取得・送信しています。だから、少し慣れてくれば、これまでと同じような分析も不可能ではありません。弊社・株式会社ミルズのレポートサービス『サイトグラス チャート』も、さっそくGA4に対応できました。

> 『サイトグラス チャート』について見てみましょう。

■ Googleが本当に勘違いしていること

日本の企業の大半はB2B企業であって、アプリも使っていなければ広告もやっていません。全国もしくは全世界に向けてマーケティングをやっている会社はごく少数です。GA4はアプリや広告を使って日本全国にマーケティングしている会社向けっぽいつくりになってしまいました。根本は、Googleが広告収入の頭打ちに悩んで、もっと広告を出させたいのではないかと邪推します。

つらいのは、Googleが「企業にはマーケティング担当がいる、ないしプロのマーケターの支援を受けられる」と考えているふしがあることです。日本の大半のB2B企業にはマーケターはいないし、支援を受けられるのは制作会社のディレクターさんくらいです。ウェブ関連の技術的な支援もほとんどないので、データをビッグクエリーに入れて自由に分析できると言われてもうれしくありません。

ただ、これらは付け足しです。どうでも良い問題ですから、GA4ユーザー側が使い勝手に慣れて自社に不要な表記を読み飛ばし、自社に必要なデータを取り出せるようになれば良いことです。

何よりGoogleが本当に勘違いしているのではないかと私が考えるのは、

ユーザーの性質を把握して、その人たちを追尾すれば成果があがる

と考えるようになったことです。確かにこれまでのUAのようにセッションだけでとらえるのは心配です。なぜなら

1回目訪問は広告から来てすぐに帰った → 2回目訪問では検索で来てお問い合わせした

という人があったとしましょう。これは2セッションと数えます。ユーザーは1ユーザーですね。セッション単位でとらえると、広告はお問い合わせに結びつかず、検索がお問い合わせに効果的と見えてしまいます。でも、このお問い合わせしたユーザーとの出会いをつくったのは広告です。ユーザー単位でとらえれば、「お問い合わせするユーザーとの出会いをつくる方法を大切にしましょう」となります。

これまで成果につながらないように感じられていた広告やSEO施策が、もっと効果が高いと補正されるかもしれません。広告を重視してほしいGoogleとしてはそうなるのは仕方ないことかもしれませんね。しかしそんなGoogleの思惑とは関係なく、私たちがとらえなければならないのは

A)目標到達した人との出会いをつくったのは何か?
B)目標到達した際、どのチャネルからどのページに来てサイト内でどう動いたか?

の2つです。(A)はユーザー視点(B)はセッション単位と考えても良いでしょう。

私たちは、1人のユーザーを追いかけて、

・出会いの機会をつくり
・その人とのコミュニケーション機会をつくり
・何度も接触し心のハードルを下げ
・顧客になってもらい
・顧客とのコミュニケーションを深めて
・VIP客になってもらう

というマーケティングのプロセスを管理することが大切です。だからこそ、今回GA4が非常にユーザー単位の分析を強調しているのは気持ちは分からないではありません。マーケティングとしては普通の考え方です。

しかし、その前に、と思います。

その前に「成果が上がらないのはユーザーコミュニケーション以前に、ホームページそのものに問題があるからではないのか?」と考えなければなりません。

今サイトを訪れているユーザーをいくら眺めても、サイトが悪くて出会えていないユーザーを集めるにはどうすれば良いか、という示唆はありません。せっかく来たユーザーを目標誘導できていないページ、できているページはどれか。サイトが悪くて機会損失をしている会社が山のようにあります。

これを書いているのは22年4月半ばですが、少なくとも現時点のGA4は、「ホームページそのものの課題発見」を軽視しているように見えます。

GA4には機能やインターフェースの改善を求めたいですが、何よりも私たちが、GA4が大切にしていることに引きずられず、自分たちが見なければならないこと、改善しなければならない点を集計分析できるようになりましょう。

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