企業・産業・業界

企業・産業・業界

個性を打ち出したい時、他社の付け入る隙を探したいとき、示唆を与えてくれるもの

インターネット以前。「業界」とはとても小さな世界でした。「ライバル」は自社と同じ分野・同じ程度の規模の会社のことでした。

インターネット以後は違います。業界はグローバルなものとなり、海外の企業から仕入れた方が早くて安いのは当たり前になりました。海外の大企業から突然引き合いのメールが来てあわてるという風景も見慣れたもの。ライバルは同業とは限りません。全くの異業種の会社が検索上位にいるために顧客をとられてしまうというのは大きな課題です。これまで名前も知らなかった小規模企業が突然現れる。不注意だと全く気付かない間に業界の風景が別物になっているのが現在です。

インターネットのせいではありません。インターネットの方がこの時代の要素の1つであって、原因はグローバル化しアメーバ化する産業界そのものにあります。変化は驚くべきスピードで訪れています。同業社組合を成り立たせているものは「同じだという認識だけ」なのかもしれません。

私たち株式会社ミルズは多くの企業ウェブサイトを常時ウォッチし、分析を行っています。ウェブ制作の現場では、今も多くの会社が「同業他社がどんなサイトを作っているか」を意識し、「ホームページランキング」を気にしているからですが、こうした状況も常に変化していることを私たちは確認しています。

多くの企業ウェブサイトを常時ウォッチし、分析を行っています

細かな例ではお菓子メーカーのホームページがみんな赤い色をテーマにしているのは有名な事例です。ロゴマークが赤い会社が多いためです。以前はもっと顕著に真っ赤だったのですが、今は赤をキーカラーにしながらよりカラフルに楽しい雰囲気を作っているようです。

ナビゲーション

ナビゲーションに目を向けるとどうでしょう。多くが商品を先頭に、CMやキャンペーン、知識コンテンツ、ショップといった順になっていることが分かります。こうした中に業界のカラーや企業の個性が現れているように感じられます。

Googleの検索結果これらの会社は日本を代表するお菓子メーカーだと言えるでしょうが、他にもお菓子にかかわる会社は非常に多く、Google検索結果上位にこれらの代表的なメーカーが並ぶとは限りません。Googleの検索結果順位には、「ユーザーが何を求めているか」という判断が色濃く反映されます。「お菓子」で検索すると通販サイトが上位に並び、ユーザーは多くのお菓子を比較し、入手したいと考えているとGoogleは判断しているようです。Facebookで「お菓子」を検索しても大手お菓子メーカーは現れません。

これは「大手お菓子メーカーが検索で損をしている」というお話ではありません。大手メーカーは展開そのものが「お菓子」全体による展開ではなく、各商品ブランドごとの展開になっているためです。狙ってそうなっているのですから損とは言えません。

どの業界にどんな展開的な特徴があるのかを知ることは重要な示唆を与えてくれます。もし同分野の新興小企業が「つけいる隙」を探すならどうするか。ある会社が自社の個性をもっと打ち出したいと思ったとき、どうすればいいのか。

アクセス解析で行う「サイト改善」から企業全体の「業績改善」を行うために

95年からずっとアクセス解析を行ってきました。当初から、「ウェブを分析しても、ウェブが企業をきちんと反映するものになっていない以上、あまり意味のあるものではない」というジレンマがありました。

最近は企業経営者のウェブ理解はかなり進み、売上データなどもあわせて分析しなければ本当に役立つものにならない、ということが理解されていると感じます。ウェブでのプロモーションや情報発信は企業活動の一部であって、全体最適・改善のためには幅広い分野を統合的にみることが必要です。

次ページの「通販・e-コマース」の項で詳しく触れますが、通販サイトで商品が売れないと思ったら商品そのものや顧客管理に課題があることが多く、商品表現やカートのシステムをいくら変えても効果は限定的です。

その一方でウェブの表現を変えたら企業全体が大きく変わったという事例もあります。リニューアルしたとたんに株価がストップ高となり、海外の大手企業から問い合わせのメールが相次ぐ、ということだって実際にあるのです。これは今のウェブが、企業の良さを十分に表現できていないためです。

企業がその良さを正しく伝えること。ブルーオーシャンを見つけ、のびのびとビジネスを展開すること。

ウェブという角度から入って、まだまだできることはある。しかしそのためにはもっと企業、産業、業界というものを正しくとらえ、変化に気づき続ける必要があります。いわゆる「制作業者」や「システム会社」にはできない全体最適のしごと。だからわたしたちはすべてをみることを始めています。

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