どうしてGA4は使いにくいの?

どうしてGA4は使いにくいの?

サイトを良くしたい企業・ウェブ担当者Googleの狙いのずれを乗り越えて

02GA4の機能を一覧してみよう

UAでは左ナビの目次項目が非常に多く、全部クリックするだけで日が暮れるほどたくさんの項目を見ることができました。「ユーザー」の中の「地域」を見るだけでも、「国」「市区町村」「大陸」「亜大陸」など、役に立つかどうかは分かりませんが、山のように項目が用意されていました。「国」を見ていてその中の「Japan」をクリックすれば都道府県別の集計が現れるといった連続性が素晴らしいものでした。

GA4ではこうした「あらかじめ用意されていてクリックするだけで見られる」項目が激減したように見えます。
(この記事を書いているのは22年10月です。その後項目などが変わっている可能性がありますのでご留意くださいませ)

左ナビの目次を見ると、

  • ホーム
  • レポート
  • 探索
  • 広告
  • 設定

とあり、一番下に「管理」という項目があります。「設定」と「管理」を分けているだけで使いにくいツールになってしまったな、と感慨します。

また、「広告」というのが大きな章立てとして独立し、GA4がUAに比べて広告を重視しているのは確かのようです。Googleは広告媒体でもありますから、広告を出している会社を大切にしたいと考えるのは自然なことと思います。ただ、日本企業の大半は、ほとんど広告を出さずに会社を営んでいます。広告を出すのは業界団体の会報誌の年賀広告だけ、というのが多数派ではないかと思います。そうした会社にとって、使える項目は「レポート」と「探索」だけとなります。

前のUAの左ナビはほぼすべてが「レポート」にあたる項目でしたが、GA4のレポートには

  • レポート
  • レポートのスナップショット
  • リアルタイム
  • ユーザー
    • ユーザー属性
      • ユーザー属性サマリー
      • ユーザー属性の詳細
    • テクノロジー
      • ユーザーの環境の概要
      • ユーザーの環境の詳細
  • ライフサイクル
    • 集客
      • 集客サマリー
      • ユーザー獲得
      • トラフィック獲得
    • エンゲージメント
      • エンゲージメントの概要
      • イベント
      • コンバージョン
      • ページとスクリーン
    • 収益化
      • 収益化の概要
      • eコマース購入数
      • アプリ内購入
      • パブリッシャー広告
    • 維持率

という項目しかありません。「収益化」は直接販売するサイトしか関係がありません。また、「維持率」ですが、これは訪問初日を100%として、何日目にそのうちの何人がサイトを再訪しているか、という分析を行うのですが、これも通販サイトやキャンペーンサイトの項目です。

一般的な企業サイトでは実質見るべき項目は4つしかありません。

これを見るだけで、GA4が出そうとしている分析は、広告を使って集客し、販売を行うサイト用のものだと感じられます。日本では非常に多くが中小零細企業であり、またかなり多くが卸売業・建設業・製造業のB2B企業です。そうした非常に多くの日本企業のサイトにとって、GA4はあまり関係ないものになってしまいました。

ぼやいていないでもう少し細かく見ていきましょう。

ユーザー属性サマリーの項目

  • 過去30分間のユーザー
  • 市区町村
  • 性別
  • インタレスト カテゴリ
  • 年齢
  • 言語

のカードが並んでいて、それぞれのカードをクリックするとそれぞれの詳しい情報が見られるという方式です。国と言語は同じようなもので、多くの会社にとって大切なのは「日本」だけです。市区町村よりも「都道府県」を先に見せてくれた方がうれしいのですが…。年齢、性別、インタレスト カテゴリ(ユーザーが関心も持つ分野)については、Googleが取得できない部分もあり、あまり信頼性の高いデータにはなりません。ご参考までに、といった数値です。

テクノロジー「ユーザーの環境の概要」の項目

  • プラットフォーム
  • 過去30分間のユーザー
  • オペレーティング システム
  • プラットフォーム/デバイス
  • ブラウザ / デバイス カテゴリ
  • 画面の解像度 / アプリのバージョン
  • 最新のアプリのリリース概要
  • アプリの安定性の概要
  • デバイスモデル

となっています。これはブラウザや解像度など、半期に1回くらい見て変化を感じれば良い項目ですね。OSなんてB2BではWindowsが多くB2CならiOSが多いというだけのこと。アプリを使っていない大半の会社には関係のない項目も多いですね。

集客サマリーの項目には注目!

  • ユーザー・新規ユーザー数
  • 過去30分間のユーザー
  • 新規ユーザー数(ユーザーの最初のデフォルト チャネル グループ)
  • セッション(セッションのデフォルト チャネル グループ)
  • セッションのGoogle 広告キャンペーン
  • ライフタイムバリュー
  • Googleのオーガニック検索の表示回数(ランディング ページ)
  • Googleのオーガニック検索のクリック数(キーワード)

です。項目名が長くて読みにくいですが、これは注目のポイントです。

新規ユーザー数(ユーザーの最初のデフォルト チャネル グループ)
セッション(セッションのデフォルト チャネル グループ)

この2つの項目を並べて見れば、初めてユーザー獲得した時のチャネルと、2回目以降に訪問者が来るチャネルが異なるということが感じられます。

ユーザーとセッションについて少しご説明しておくと、ユーザーとは1人の人間です。同じ人が何回サイトを訪問しても1人です。セッションとはその訪問のことで、一度あるページから閲覧を始めていくつかのページを見、退出するまでの一連の流れを「セッション」と呼びます。分析期間中に同じ人が3回も訪問してくれたら、

1ユーザー、3セッション

と数えるわけです。そのため、一般にユーザー数よりもセッション数の方が大きくなります。
新規ユーザーというのはその期間に初めて訪れた人で、今集計している期間よりも前の期間に一度訪れた人はもちろん新規ユーザーではなくリピーターに分類されます。

ちなみに、非常に多くのB2B中小企業の場合、ユーザーの大半が新規ユーザーで、リピーターはあまり多くありません。1ヶ月くらいの期間で見た場合、同じユーザーがサイトを何度も訪れることは少なく、セッション数はユーザー数の1.2~1.4倍程度になります。

「ライフタイムバリュー」という項目は通販サイトにとっては重要な項目ですが、大半の会社には意味がありません。

多くのサイトにとって重要なのは次の項目でしょう。

Googleのオーガニック検索の表示回数(ランディング ページ)
Googleのオーガニック検索のクリック数(キーワード)

自然検索で訪れる人がどのページを入口(ランディング ページ)にするかは集客面で非常に重要です。とても意外なページが多く検索者を連れてきます。昔のニュースページがとても多く検索されていた、なんてことも珍しくないので、これについてはぜひ詳しく見ておきたいものです。

キーワードについては少ししか教えてもらえない状況です。UAの頃からそうでしたから皆さん慣れておられるのではないかと思います。それでも、集計期間をできるだけ長くすれば、より多くのキーワードを見ることができます。これもぜひ詳しく見てください。

エンゲージメントの概要

  • 平均エンゲージメント時間
  • 過去30分間のユーザー
  • 表示回数
  • イベント数
  • イベント数(イベント名)
  • 表示回数(ページ タイトルとスクリーン クラス)
  • ユーザーのアクティビティの推移
  • ユーザーのロイヤリティ

これについてはそもそも「エンゲージメント」とは何か?ということをご説明しなければなりません。それは少し長くなるので、追ってご説明します。今はごく簡単にお話すると、エンゲージメントは訪れた人が「この会社や製品はいいな」と感じたらしい行動をとった、ということです。そこで、このエンゲージメントはとても気になる項目であることは間違いありません。
「GA4の「エンゲージメント率」って何?」で詳しくご説明します。(Coming Soon)

大切なのは「探索」です

こうして「レポート」の各項目を見ていくと、GA4は「ユーザー」を大切にしていて、しかも過去30分がどうだったかをいつも気にしています。またユーザーの「維持率」を高めて、同じ人がいつもサイトに来てちょっとずつ会社のことが好きになり、ものを買ってくれるようになる、というモデルでマーケティングのことを考えています。

そのためには、広告やキャンペーン、楽しいアプリが欠かせません。それらとあまり縁のない、日本の多くの中小B2B企業は、そうした関連項目を使うことができません。大手であってもB2C企業であっても、コーポレートサイトでは広告もキャンペーンもアプリもないかもしれませんね。広告やキャンペーンや楽しいアプリがあったら、サイトの唯一のゴールが「お問い合わせ」なんてことはないでしょう。

では、日本の大半のコーポレートサイトがサイトを改善したい場合、GA4の何を使うか、と言えば「探索」です。

探索では、自分で条件を指定して、詳しく絞り込んだ内容のデータを集計することができます。ここで設定すれば、UA時代に見慣れた項目についてデータ取得することもでき、自社サイトをどのように改善していくかを考えることができます。

この探索についてのご説明から、次節「GA4の詳細項目を見ていけば、その「哲学」が分かる」のお話を始めましょう。

NEXT03GA4の詳細項目を見ていけば、その「哲学」が分かる

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