自社ホームページの内容整理(2)概略サイト構成表
ウェブ担当者は「自分は素人なので…」と口にする方が多いですが、それは仕方のないことです。いわゆる専門家と知識を競ってもかなわないのは当然だし、そんなことには何にも意味はないですよね。
でも、自社のホームページのことを何も知らないというのはまずいです。どれだけページ数があって、どこにどんなことが書いてあるのか、掌を指すように、細かく分かっていなければ始まりません。
その状態で「SEO対策をしなければ」と言うのは順番が違うということになります。検索というのは自社のサイトに書いていなければ成り立ちませんから、「書いてもいないキーワードで順位を上げたい」と考えるのはおかしなことです。
ホームページの制作技術やマーケティングについて素人でもけっこうですから、まずは自社サイトについて知るようにしましょう。これなら予備知識なしでも始められます。
●自社のホームページの大きな構造を理解しましょう
まずはトップページを開いて眺めてください。いつも見ているとかえって気づかないこともあるかもしれません。改めてよく見てみましょう。
トップページには「ニュース」や「お知らせ」といった欄がありますから、そこを見て、どれくらいの頻度でお知らせが更新されているか、確認してください。もちろんウェブ担当者は更新については把握しているはずですから、頻度が分からないはずはないのですが、改めて見てみると、「半年に1回くらいか。やっぱり少ないかなあ」といった感想が出てくるでしょう。
ウェブ担当者が仕事をする場合は、自社のサイトをちゃんと見るというのが一番の基本となります。
さて、トップページで見るところはまだあります。
ナビゲーション部分を見てください。たとえばホームページの一番上のところを見ると、全ページ共通で入っているナビゲーションというボタン群があることが多いと思います。
会社ロゴ > English > サイトマップ
ホーム 企業情報 製品情報 技術情報 採用情報 お問い合わせ
といった形でボタンが並んでいませんでしょうか。このボタン群を「ナビゲーション」(道案内)と呼びます。全ページに共通で入っているナビゲーションを「グローバルナビゲーション」と呼びます。
グローバルナビゲーションに入っているのはホームページ全体の大枠の構造を示していると言っても良いでしょう。「企業情報」というのは1つの大きなコーナーで、この中に会社概要や沿革などたくさんのページがあるかもしれません。それを束ねているのが「企業情報トップ」と言われる目次ページです。
グローバルナビゲーションのボタンを押すと、各コーナーのコーナートップページに進むようになっています。コーナートップページはそこがまた目次になっているので、閲覧者は項目を選んで進むことができます。
これを箇条書きで表すと、
ホーム
企業情報
製品情報
技術情報
採用情報
お問い合わせ
English
サイトマップ
ということになります。これがこのサイトの「大きな構造」です。先ほどのナビゲーションでは1行目に出てきた「English」と「サイトマップ」ですが、これは用途が限られたものですから、後回しで、企業情報など多くの人が利用するはずの部分を先に書いてください。
この箇条書きは、あとで便利なように、ワードやパワーポイントではなく、必ずエクセルで書くようにしてください。
これらのボタンを順番にクリックして、ブラウザーのアドレス欄をコピーしてみましょう。
ホーム http://www.yourdomain.co.jp/index.html
企業情報 http://www.yourdomain.co.jp/company/index.html
製品情報 http://www.yourdomain.co.jp/products/index.html
技術情報 http://www.yourdomain.co.jp/technology/index.html
採用情報 http://www.yourdomain.co.jp/recruit/index.html
お問い合わせ http://www.yourdomain.co.jp/inquiry/index.html
English http://www.yourdomain.co.jp/en/index.html
サイトマップ http://www.yourdomain.co.jp/sitemap.html
各コーナーのトップページはたいてい「index.html」という名前になっています。indexとは雑誌などの目次のことですね。ホームページでは目次から順番に項目を選んで進むので、たとえばトップページから製品Aを見ようとすると、
ホーム http://www.yourdomain.co.jp/index.html
↓
製品情報 http://www.yourdomain.co.jp/products/index.html
↓
製品カテゴリー1 http://www.yourdomain.co.jp/products/category1/index.html
↓
製品A http://www.yourdomain.co.jp/products/category1/productA/index.html
と、順番に目次ページを深堀して進んでいくことになります。ページとページの間の「↓」がクリックを表しますから、この人は製品Aにたどり着くのに3回もクリックが必要だったことになります。見たのは4ページですから、「この人は1回のアクセスで4ページビューだった」と言います。
見ているのは全部「index.html」で目次ばっかりですね。目指す情報にたどり着くまでにあまり目次ばかりだと、見る人がしんどくなってしまいますから注意しましょう。
このように、ページをそれぞれ1行で箇条書きに表した表を「サイト構成表」と言います。これを実際に自社のサイトで作成してみてください。これだけの作業で、御社サイトの概略のサイト構成表を入手できたことになります。
ちなみに、「http://www.yourdomain.co.jp/」部分は全部同じなので略して「/」だけに代表させましょう。また、「index.html」は省略してもアクセスできるようにサーバーが補ってくれるので、これも略して大丈夫です。すると、
ホーム /
企業情報 /company/
製品情報 /products/
技術情報 /technology/
採用情報 /recruit/
お問い合わせ /inquiry/
English /en/
サイトマップ /sitemap.html
と、ずいぶんシンプルになりました。ちなみに「/」がパソコンで言うところの「フォルダ」を表しています。ホームは「/」だけですから、一番上のフォルダにトップページのデータがあることを意味します。同じ一番上のフォルダの中には「comapny」「products」「technology」「recruit」「en」というフォルダと、「sitemap.html」というページが置かれているわけです。
このようにして、サイト構成表を描くことで、自社のホームページがどんな風にファイルやフォルダをつくって情報整理しているか、ということが理解できるようになってきます。
たとえば製品情報だけ刷新したければ、「products」フォルダの中だけ触れば良いわけです。productsフォルダの中に10ページあると分かっていれば、10ページの変更に1万円ずつかかるなら全部で10万円必要だな、と予算についても見通せるようになるでしょう。
まだ概略のサイト構造だけをサイト構成表に表しました。あまりにも概略的で、これでは何の役にも立たんではないか、と思うかもしれませんね。
でも、次の2つの用途ではこうした概略サイト構成表を書くことが大いに役に立ちます。
1)次のリニューアルについて基本構想をつくるとき
2)ライバル会社のホームページを研究するとき
これならよそのサイトでも簡単に作業できますから、ライバル会社のサイトを片っ端からサイト構成表にして、「ここはこんなコンテンツを発信しているぞ」と調べていってください。
さて、次回はサイト構成表を全ページ分作成することにしましょう。