施策前後の比較をすればアクセス解析はかんたんになる

アクセス解析は難しい、どのデータを見れば良いのか分からない、と今でも多くのウェブ担当者さんに言われます。でも本当はアクセス解析はとても簡単で、ウェブに詳しくない人でもこのデータさえ見ておけば良いというのがありますから、今日はその方法についてお伝えしましょう。

●解析結果は固定された成績表ではない

私たちはウェブの更新を随時行っています。広い意味では更新とは新規ページを追加するか、既存のページのどこかを変更することです。たとえば、商品にまつわる知識情報を1ページ追加したら、

・そのページがどれくらい見られるか
・どのくらい集客に役立ったか
・どのくらいゴールに貢献したか

ということが気になるでしょう。「気になること」があれば、アクセス解析はとてもかんたんです。気になるところを見ればそれで良いのです。
ページを追加して2週間ほど放置し、Googleアナリティクスで「すべてのページ」を見れば、気になるデータが分かるでしょう。

実は、多くの人がアクセス解析を難しいと言うのは、「サイトに更新を加えていないのに、データを読もうとする」ためです。更新を加えれば、必ずアクセスに反応が出ます。その反応を見れば、数字の意味がはっきりします。

アクセス解析とは湖面の波紋のようなものです。石を投げ入れれば(つまり更新を行えば)その様子が手に取るようによく分かります。石を投げもせず、ただ湖面を眺めていても、何も分からないのが当然です。

解析結果の数字を、定まった成績表のように感じている人がけっこう多いようです。実際は違います。サイトはどんどん更新するもので、そのたびに変化が起こっています。その変化を読み取りさえすればそれで良いのです。

Googleアナリティクスの「ユーザー > 概要」という一番基本的な画面には、

 直近1ヶ月 ページビュー数 2,000 セッション(訪問数) 1,800

といったデータが書かれています。が、これだけ見ても多いのだか少ないのだかさっぱり分かりません。1つの数字だけ見ても分からないのは当然です。同じ数字でも、

 直近1ヶ月 ページビュー数 2,000 セッション 1,800
 前年同月  ページビュー数 1,300 セッション 1,200

と期間の比較をすれば、「お、増えたじゃないか」ということが誰にでも分かるわけです。ここに波紋が現れているわけです。

●施策を実施した前後2週間を比較する

もう少し具体的に波紋の読み取り方をお伝えしましょう。

少し前に「商品Aのトップ」を変更して、「商品Aの特長」へのリンクを目立つようにした、とします。これは「商品Aの特長」というページがもっと見てもらいたいからですね。アクセス解析では、そこを見れば良いのです。

・商品Aのトップのリンクを変えたから、
 商品Aの特長のページがもっと見られるようになったはず

という仮説が生まれます。これを見るのが「期間比較」です。

Googleアナリティクスの「行動 > サイトコンテンツ > すべてのデータ」を開いてください。この表は、すべてのページをページビュー数の多い順に並べて、そのトップ10を表示しています。ページビュー数の多いページ トップ10といえば、トップページがあって、企業情報トップ、会社概要、製品情報トップといった「多く見られていて当り前」のページです。

それはいつ見ても同じような顔ぶれです。だから、この表をこのまま見ていても何も分からないし、面白くも何ともないのですね。

今見たいのは、商品Aの特長のページで、そんなページはトップ10には見られないのが普通です。まずは、商品Aの特長のページだけを表示しましょう。

自社サイトの商品A関連のページをブラウザで実際に開いて見てください。ブラウザのアドレス欄を見ると、

 http://www.companydomain.co.jp/products/productA/feature.html

と表示されているかもしれません。これがGoogleアナリティクス上では、普通はドメイン部分を略して

 /products/productA/feature.html

と表記されます。(ドメイン部分が表示されるようにGAに設定している場合もありますから、そのあたりは実際のGAの表示を確認ください)。
このアドレスを「すべてのページ」の表の右上の検索欄に入力してやれば、このページだけのデータに絞り込んで表示されます。

 /products/productA/feature.html 500PV 400訪問

といったデータになっているでしょう。これで準備ができました。次は期間を調整して、このページの変化を比較します。

今日は2021年2月15日だと考えてください。ページAトップを変更したのは2週間前の2021年2月1日です。つまり、

 更新後 2021年2月1日~2月14日
 更新前 2021年1月18日~1月31日

で比較すれば、同じ日数、同じ曜日パターンとなるので比較しやすいでしょう。もちろんこのように日数や曜日パターンを合わせても、間に祝日が入ったといった事情で比較しにくくなることはありますので、そのあたりもカレンダーを確認して比較の参考にしてください。

Googleアナリティクスの良いところは、こうした期間比較がとてもしやすいという点です。今見ている画面上で、画面の一番上の右側に今集計されている期間が表示されています。この期間をクリックすると、カレンダーが表示されるので、そこで開始日(2月1日)と終了日(2月14日)をそれぞれクリックして分析期間を決めてください。

次に、日付の下に「比較」というチェックボックスがあるのでこれにチェックを入れてください。すると、自動的にGAが同じ日数の期間を比較相手として選んでくれるのです。期間比較の状態が表示されたら、「適用」というボタンを押せばOKです。GAが自動的に再集計して、期間比較データを表示してくれます。

 /products/productA/feature.html
 2021年2月1日~2月14日  500PV 400訪問
 2021年1月18日~1月31日 300PV 250訪問

となります。商品A特長のページの訪問数が160%と大きく伸びていました。これを見ると、製品Aトップを改訂したのは効果があったと言えそうです。

このように前後比較をすれば、「アクセス解析で見るべきもの」は明らかです。難しく考えないで、

 更新する → 結果を前後比較する

という流れをつくってください。

いかがですか? かんたんでしたね。ただ問題は「いつどこを更新したか」ということを記憶していられるか、ということです。次回は更新記録について考えていきましょう。