PDCAを回せばぜったいにうまくいく理由

「PDCAサイクル」という言葉があります。ビジネス人なら知らない人はいないでしょう。

 P:Plan 計画
 D:Do 実行
 C:Check 評価
 A:Action 改善

と説明されることが多い仕事の進め方です。ウェブでもこの進め方はとても大切ですから、ぜひ実践していきましょう。

●Actionが「改善」? これがなかなか難しいですね

上の訳語を見ると、Planが「計画」、Doが「実施」、Check「評価」あたりは良いのですが、Actionを「改善」と訳すのはどうでしょう。ちょっと苦労が見えてしまいますね。翻訳が苦心するのは、説明が難しいということであり、説明が難しいということは誤解も多いわけです。

PDCAという言葉は少なくともウェブでは誤解をされることが多く、なかなかうまくサイクルを回せていないのが実際です。

私がこれまでウェブのPDCAについて企業の担当者さんと話をしたところでは、多くの人が

 D:Do
 A:Action

の違いが分かりにくいと感じているようです。それはそうですね。Google翻訳で調べたら、「Do」は「行う」ですが、「Action」の方は

 アクション、作用、動作、行動、活動、働き、行い、仕草、仕業、立ち回り、仕打ち

とずらずら出てきて、何やら分かりにくいです。まあ、ほとんど「Do」と変わらないように見えます。この違いが分からないとごっちゃになってしまって、うまくサイクルにならないのです。

英英辞典で「Action」の定義を見てみましょう。

 the fact or process of doing something, typically to achieve an aim

とあります。目的を達成するために何かをすること、だと言います。これを「改善」と訳したのはなかなか良く考えているなと思いますが、目標に向かってどう進めば良いかが定まった感じがします。

どうして定まったかと言えば、Doでやってみて、Checkしたからですね。この「定まった」感じをこそ「実行」と呼びたいところです。定まる前にやってみるという感じの「Do」は「試行」で良いのではないでしょうか。

 P:Plan 計画
 D:Do 試行
 C:Check 評価
 A:Action 実行

と考えれば、サイクルの感じが良く見えてくると思います。ただ、方向が定まるまでの試行は1回ではうまくいきません。1回試行して1回評価しただけでは、目的達成への道筋は見えないでしょう。
そこで、このサイクルを次のように考えていただければ良いのではないかと思います。

 P-D-C-P-D-C-P-D-C-P-D-C-A

本当は、「PDCサイクル」なんです。計画して、やってみて、評価する。次の計画をして、やってみて、評価する。次の計画をして、またやってみて、評価する。
このサイクルを何度も回せば目標に向かう道筋が定まってくるでしょうから、いよいよActionです。

●ウェブのPDCAサイクルがうまく回らないのはなぜ?

PDCAの「Do」を「実施」と考えていると、ここで力を入れすぎてしまうのではないかと思います。あれもやってこれもやって、それからこんなこともやらなければ…。いろいろやり過ぎてしまうのです。

やり過ぎてしまうと、評価をしようにもどの施策が効いたのか分かりません。風邪をひいたときに、かぜ薬を飲んで葛根湯も飲んで生姜湯も飲んで、早寝して、いっぱい食べて、うがいをして、あれもこれもした結果、どれが一番効いたのか分からない状態になるのと同じです。

実験というのは、A群とB群で1つの条件だけ変えて、他はまったく同じ条件にしておきます。それで結果に違いがあれば、「変えた条件がこの差の原因である」と言える、という仕組みです。

同じような実験を状況を少しずつ変えて何度もやってみて、同じような結果が得られるか、追試験を何度もします。

これが「Do」だと思うのです。

ウェブでは、PDCAの「Do」にあたる動作が、なんと「リニューアル」ということになってしまっています。日頃のDoとはずいぶん違いますね。リニューアルは「Action」でなければなりません。

リニューアルが「ひとまずやってみる」になってしまっているのですが、まあリニューアルですから、あれもこれもやらなければなりません。時間もかかり、予算も膨大です。あとで「Check」して問題に気付いても、予算も気力も残っていません。これではうまくいくはずはありませんね。

リニューアルの作業が始まる前に、どれだけ「Plan-Do-Check」を繰り返して、「目標達成に向かう道筋が定まった」状態をつくっておくか。これこそがウェブ担当者の仕事だと言えそうです。

ところで、先ほど実験について書いたように、

 計画を立て、1つの条件だけを違えてA群とB群を比較する

のが実験です。語順を変えれば、

 比較できるように、1つの条件だけ違える計画を立てる

ということになります。何が言いたいかと言えば、

 P:Plan 計画
 C:Check 評価

は、セットでなければ意味がない、ということです。評価できるように計画してあるか? と言うと、ウェブの計画でそんなことを考えている人はほとんどいないようです。

ウェブの計画は、

 ・こんな機能がほしい
 ・こんなコンテンツもあった方が良い

というものであって、評価できるように計画する、という考えはそもそもありません。「P」がないのですから「PDCAサイクル」が回るはずはありませんね。

ではどうすれば良いのか、次回から実践的に考えていきましょう。