ウェブページの上部に適切にキーワードを濃縮する
前回は目に見えない原稿パーツについて解説しました。今回はいよいよ、訪問者の目に触れるパーツを検討していきましょう。
●訪問者の目に見える文章パーツ
目に見えるパーツは、次のような部分です。
・パンくずナビゲーション
・見出し
・リード文
C)パンくずナビゲーション
パンくずナビゲーションとは一般にページの上部にあるリンクナビゲーションです。
ホーム > 製品情報 > 製品A > 製品A 特長
といった形で「>」で区切って、トップページからの相対的な位置を示す道しるべです。上の例では今「製品A 特長」のページを見ているのですが、「ホーム」「製品情報」「製品A」のテキストはリンクになっており、クリックするとそれぞれのページに戻れるようになっています。
この仕組みをURL的に見ると、
ホーム /
製品情報 /products/
製品A /products/productA/
となります。「/」が1つ、2つ、3つついていることが分かります。「/」はフォルダを表すので、トップページがある一番外側のフォルダ「/」の中にトップページがあり、「products」というフォルダがある、ということを示しています。「products」フォルダの中にさらに「productA」というフォルダがあります。このフォルダの重なり具合のことを「階層」と呼んでいます。
パンくずナビゲーションは、今いるページよりも上の階層の目次ページに直接戻れるようになっているものです。
これをパンくずナビと呼ぶのは、グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」で2人の兄妹がパンくずをまきながら歩いて、それをたどることで知らない森でも元の場所に戻れるようにした、というエピソードから来ていると言われます。
昔のホームページではトップページから見始めて、リンクをたどってどんどんページを進んでいくと、「今どこにいるんだろう?」と分からなくなって迷子になってしまいがちでした。何しろグローバルナビゲーションというものがなく、本文中のリンクで進むしかなかったのです。
そこで発明されたのがこのパンくずナビゲーションです。トップからどんどん進んで迷子になっても、いつでもこのパンくずをクリックすれば、上位の階層に戻ることができるのです。
ホーム > 製品情報
のホームをクリックすればトップページに戻れるし、製品情報を押せば製品情報の目次に戻って、他の製品を見ることができるのです。
ここで気付くのは、製品情報配下に製品A、製品B…とたくさんのページがあったとして、それらすべてのページに、製品情報に戻るパンくずが入っているということです。
多くのページのページ上部に、テキストリンクで製品情報へのリンクが入っているのですから、製品情報というページは「製品情報を見たい人に教えてあげるべきページだ」と検索エンジンが学習できることになります。
Googleはこれを見て、「〇〇株式会社 製品情報」と検索している人には多くのページから「製品情報」というパンくずでリンクされているページを紹介すれば喜ばれるだろうと判断できるのです。
しかし、
ホーム > 製品情報 > 製品A > 製品A 特長
といったパンくずナビゲーションだけでは、たいしたキーワードが含まれていませんね。
でもこれが読み物コンテンツとなると様相が変わります。
ホーム > 技術情報 > 金属加工とは? > 金属加工の主な方法
という形になります。これで、「金属加工」というキーワード検索に対してどのページを紹介すれば良いか、Googleが学ぶことができるわけです。他のページよりも金属加工という言葉で多くのページからリンクされている「金属加工とは?」というコンテンツトップのページを紹介すれば良いのです。
こうして、多くのページからキーワードを含むパンくずナビゲーションで特定のページを指さすことで、検索エンジンに「このサイトは金属加工について多くのページを持っていて、この『金属加工とは?』というページを紹介すれば良いのだな」と教えられます。
このように、サイトにコンテンツをしっかり持っていれば、パンくずナビゲーションは重要なテキストパーツとなるのです。
こうしたことを考えて、サイトには検索してほしいキーワードでパンくずが構成されるように、コンテンツをつくっていかなければならない、ということになります。
D)見出し
見出しを記述するHTMLタグは<H>というものです。これには6つの段階があって、
<H1>アクセス解析とは?</H1>
<H2>(1)ホームページの効果を分析する方法</H2>
<H3>アクセス解析で分かること</H3>
<H3>アクセス解析から問題点を見つけるには?</H3>
<H2>(2)ウェブ担当者の努力の結果を評価する方法</H2>
<H3>ウェブ担当者の努力の結果はどこに現れるか?</H3>
<H3>担当者の評価を行う3つの指標</H3>
<H4>(i)精読率</H4>
<H4>(ii)再訪率</H4>
<H4>(iii)目標到達率</H4>
という形で、<H>タグのレベルを重ねることで、ページの情報構造をブラウザや検索エンジンに伝えていくようになっています。
一番重要なのは<H1>で、これがそのページ全体のテーマを表します。上の例ではその中に<H2>が複数あり、<H2>の中にまた<H3>が複数存在できます。
それぞれが情報の入れ物を示していると考えてください。1つのページには<H1>は1つしかないのが当然ですし、<H1>がないのに<H2>があるというのは入れ物の重なり具合として間違っています。
HTMLの解説本などで、<H>タグは見出しの文字の大きさを表す、と解説しているものがありますが、これは間違いです。見出しの文字が小さい方が良いから、<H1>なしでいきなり<H3>を書いたりすると本末転倒ということになりますのでご注意ください。
●見出しには2種類の役割がある
ところで、見出しには2種類の役割があります。
1)その内容を具体的に伝える見出し
2)読む人に内容を期待させるキャッチコピー
SEOを考える多くの人が、「見出しは検索エンジンに重視されるから、見出しにはキーワードを含まなければならない」と考えています。が、キーワードだけで見出しをつくると、はっきり言ってつまらない見出しになります。
アクセス解析の意味
といった見出しを書いてしまいがちです。確かにこれは「アクセス解析 意味」という検索をしている人には見つけてもらいやすい見出しかもしれません。でも、それはページにやってくる前の話であって、もうページを訪れた人にとって面白さを感じさせる言葉になっていませんね。
同じ内容でも、
お問い合わせを増やすにはどうすれば良い?
といった形の方が、これから本文を読もうと思う人にとっては興味が持てるかもしれません。でも、ここにはあまり有効なキーワードがありませんね。そこで、
アクセス解析の意味
お問い合わせを増やすにはどうすれば良い?
と2行重ねにし、片方で律儀に内容を伝え、片方で面白がらせる、という考え方をすると良いでしょう。内容を伝える方の小さな文字の見出しを一般に「ショルダータイトル」と言います。肩に乗っている小さな文字列なので、こう呼ぶのですね。ショルダータイトルはまじめ律儀な文字列なので、自然にキーワードを含むことができます。これがあるおかげで、もう片方の大見出しの方はキーワードを気にせず、これから本文を読もうかと言う人の興味をつかむような面白いコピーを工夫することができるでしょう。
このように、2行構成の見出しをつくることで、キーワードを含みながら読者の興味を引き、閲読率の高いページにすることができるのです。
さて、残るは「リード文」ですが、長くなってしまいましたので、これについては次回解説していきましょう。