SEOとは?

そもそもSEOとは何でしょう?

うちの会社でもお客様から「SEOをやらなければいけないんです」とご相談いただくことがとても多いです。

本屋さんに行くとSEOの本がたくさんあります。ノウハウサイトもあるし、セミナーもとてもたくさん開催されています。でも、SEOについて正しい情報が出回っていないと感じます。

どうも一番本質的な部分が伝えられないまま、「Googleのアルゴリズムがこう変わった」とか、「キーワードの検索回数を調べる方法」といった枝葉の情報ばかりが広まっているようです。みんな、「ゲームのルール」を覚えることには一生懸命ですね。でもそれでは成果には絶対結びつきません。

●SEOとは「マーケティング」です

これも分かり切ったことのように思いますが、SEOはマーケティングの手法の一つです。

マーケティング手法だと言うことは、「マーケットに呼び掛ける」ようになっていなければなりません。つまり、お客様です。御社でお客様になってくれるのはどんな人かということが決まっていなければなりません。

たとえば御社が金属加工の会社だとして、「金属加工」というキーワードで検索している人は、本当に御社のお客様になる人ですか?

たいていは違います。「金属加工」で調べている人には、

 ・金属加工業界に営業したい人(非常に多いです)
 ・金属加工業界に就職したい人(あまり多くないです)
 ・金属加工業界で検索順位を気にしている人(業界人の数だけいます)

が多く含まれています。ちっともお客様ではありません。

お客様は「金属加工の会社ならどこのどんな会社が出てきてもサイトを見てお問い合わせをする」というものではないでしょう。「金属加工の会社でうちの近所の会社」「金属加工の会社でこの技術に優れた会社」を探しているのです。

また、別のお客様は「金属加工」という言葉も思いついていません。探しているのは良い結果であって、それが金属加工で実現されるのか、プラスチックなのか、はたまた不織布なのか、そんなことはどうでも良いかもしれませんね。さて、これらのお客様がたはどんなキーワードで検索しているでしょうか。

この、お客様とそのニーズが定義されてないのに、「このキーワードで順位を上げたい」ということだけ決まっているというのは、マーケティングとしては間違っています。お客様以外の人ばかり来ますから、訪問数だけ増えて、直帰率が高く、CVRが0%といった結果になることが明らかです。

検索エンジンだけを見ているマーケティングなどありません。SEOを行うなら、お客様を真っ先に決めてください。

急いで付け加えるなら、お客様は1種類ではありません。御社が話しかけたいお客様を全部リストアップして、

 ・このお客様層は数が多いな
 ・このお客様層はうちの得意ワザに関心が高いな
 ・このお客様層は競合会社が取り込めていないな

といった観点で優先順位をつけて対策していくのです。

そもそも、ウェブというものがマーケティングの一手法です。ターゲットが決まっていないウェブなんてありえないし、ターゲットを決めなければ成果も出ないのです。

●SEOは、「サイトに書かれたもの」で決まります

「うちのサイトでもSEOをしなければいけないのだけど」と言うウェブ担当者さんは多いのですが、ご指定のキーワードで今のホームページを調べてみると、全然そのキーワードが登場していない、ということも少なくありません。

ホームページに書かれていない言葉で検索順位を上げるのがSEOだと思っている人が多くて困ります。「SEO業者に頼んだら、なんだか知らない間に対策を行って、知らない間に順位を上げ、高順位を維持してくれるんでしょう」なんて言われます。

外部サイトから怪しいリンクをはれば順位を上げられた時代の記憶があるのかもしれません。

サイトに書かれていない言葉で検索した人が仮にサイトに訪れてくれたとしても、求める情報がないのですから、すぐに帰ってしますのが当然です。

サイトのページ数は10~30ページくらいで、各ページにはほとんどテキストがない。前回のリニューアル時につくったまま、ページの追加や更新は行っていない。そうした状況で「SEOをしなければ」と考えるのは矛盾ということになってしまいます。

SEOという言葉は、「Search Engine Optimization」の略です。最後の単語が難しいですね。オプティマイゼーションと読んでください。日本語にはない概念なので、翻訳ができないのですが、無理やり「最適化」と訳されています。

この言葉のせいで、SEOとは検索エンジンの順位決定ルールに合わせて調整するものだと思い込んでいる人がたくさんありますが、それは間違いです。

SEOの「SE」とは「検索エンジンを通じたマーケティング」です。つまり、検索エンジンを通じて、その向こうで情報を探しているお客様に出会うための作業です。決して、検索エンジンをだまくらかして順位を上げる作業ではありません。

問題のオプティマイゼーションは、もともとは進化論の言葉で、生物が環境に適合して生き残るために自分の姿を変えていくことを指しています。

どうして蝶々の羽根の模様は、目玉のような柄になることが多いのでしょう? それは、目玉の模様には天敵が驚くような効果があって、その柄を持った個体がたまたま生き残ったのです。それが何世代も繰り返されていくうちに、蝶々は目玉模様の羽根を持つものが多くなった。オプティマイゼーションとはそんなものすごい生き残りの話なんです。

業者に頼んでちょこちょこっと対策してもらったら順位があがったなんて呑気な話ではありません。

SEOを説明的に日本語にするなら次のようになります。

検索エンジンを使って情報を探しているお客様に出会うために、
その人が「良いサイトを見つけた!」と感じてくれるように
サイトを変えていくこと

これがウェブサイトにとって、優れた生き残り戦術だということになるでしょう。

●SEOにおける重要キーワードとは?

たとえば、不動産会社さんなら「マンション」というキーワードは重要かもしれません。金属加工の会社なら、もちろん「金属加工」で一番になりたいでしょうね。

でも「マンション」で検索しているのは、順位を気にする不動産業者自身と、そのSEO業者だけです。私はかつてお客様のために「マンション」で一番をとったことがありますが、ぜんぜんサイトの訪問者が増えなかったのでがっかりしました。「金属加工」でも同じです。

お客様は「マンション」で検索したら「これでは自分が求めている結果にたどり着かない」と分かります。せっかく検索したのに、無数にあるマンション関連サイトの中から改めて自分に適したサイトを見つけるなんて不可能です。

ではどうするか? 「マンション 間取り」「マンション 札幌」「中古マンション 1000万円以下」と自分の見たい内容により近づくようにキーワードを追加するのです。

このセカンドワードを見れば、お客様が何を求めているかが分かりますね。

御社の特長が、このセカンドワードと合致するなら、そのお客様は喜んで訪れて「良いサイト(もしくは会社、物件)を見つけた!」と資料請求するかもしれません。

SEOを行うなら、「業界で重要なキーワード」を考えるよりも先に、自社の特長が何か、何を求める人がサイトに来たら喜んでくれるか、資料請求しようとするかを考えなければいけないのです。

お客様の中にはまだ「金属加工」が自分が探している答だと気づいていない人もたくさんあります。解決策になるならお客様は何加工でも良いのです。プラスチックでも、不織布でも良いかもしれません。

そんなお客様が課題解決のために、どうやって情報を探しているでしょう? B2Bの会社だったら、近い分野の展示会の名前で検索しているかもしれません。既存のお客様に、「どうやって情報を探しましたか?」と聞いた方が早いでしょう。

御社の得意ワザ、特長と関係のないキーワードで順位を上げても、ぜったいに成果にはつながりません。まずは、自社の得意ワザを探している人がどんなキーワードを使っているか、考えてみましょう。いわゆるビッグワードと呼ばれるような「意味の広いキーワード」だけでは、順位を上げてもお客様とは出会えないのです。