ページごとのアクセス数を月別で解析しましょう(2) Googleアナリティクスのページ指標の定義(中編)

前回は、Googleアナリティクスの「すべてのページ」に見られる指標、

 ページ ページビュー数 ページ別訪問数 平均ページ滞在時間 閲覧開始数 直帰率 離脱率 ページの価値

について、定義や考え方を平均滞在時間まで解説してきました。今回は「閲覧開始数」から再開しましょう。

・閲覧開始数

閲覧開始、ということは、そのページを入口にして入ってきてそこから閲覧を始めた、ということです。この値が大きいページは集客力があります。同じくらいよく見られているページでも、

 ページA:ページ別訪問数 100  閲覧開始数 20
 ページB:ページ別訪問数 100  閲覧開始数 90

という2つのページでは意味合いがぜんぜん違います。引き算をすると分かります。

 ページA:ページ別訪問数 100 - 閲覧開始数 20 = サイト内移動 80
 ページB:ページ別訪問数 100 - 閲覧開始数 90 = サイト内移動 10

つまり、

 ページAは集客力は弱いが、サイト内でよく選ばれているページ
 ページBはサイト内であまり選ばれていないが、集客力の強いページ

と評価できます。ページBは直帰率を引き下げて、次のページに多くの人を誘導する施策が必要です。ページAはたぶん読むべき価値のあるページですから、もっと集客力を持たせると良いかもしれません。また、ページBにいきなりやってきた人に、ページAをおすすめするリンクを入れておけば、良い情報があるということに気付いてもらいやすいでしょう。

これを割り算して、率を出すと、

 ページA:閲覧開始数 20 ÷ ページ別訪問数 100 = 集客率 20% サイト内誘導率 80%
 ページB:閲覧開始数 90 ÷ ページ別訪問数 100 = 集客率 90% サイト内誘導率 10%

となります。これは把握しておくと役立つ指標です。Googleアナリティクスで「すべてのページ」のデータをダウンロードしたら、エクセル上でこの割り算をすべてのページについて計算し、集客率の高い順に並べてみると面白いことが分かります。

●閲覧開始数の合計がほぼ訪問数と一致する

Googleアナリティクスの「すべてのページ」の画面には、「ユーザー > 概要」で見た「セッション」(訪問数)の合計が表示されていません。「すべてのページ」はあくまで、ページビュー数の多い順にページを並べたものです。

「訪問数」に似た言葉は、この表には「ページ別訪問数」という数字があります。似ているから混同しやすいのですが、「ページ別訪問数」の合計は、「セッション」(訪問数)の合計に一致せず、はるかに大きな数字になります。

今私の手元でデータを見ているサイトの実例を出すと、

 サイトA:「ユーザー > 概要」 セッション958、ページビュー数1,974
     「すべてのページ」 ページビュー数1,974 ページ別訪問数1,569

となっていました。Googleの言葉遣いが分かりにくいのですが、セッションが訪問数なのです。しかし、

 セッション    958
 ページ別訪問数 1,569

とまったく一致しません。なぜならページ別訪問数は、2人の人が1回ずつ訪問して、

 セッションA:ページ01 → ページ02
 セッションB:ページ01 → ページ03 → ページ01

と見たとしましょう。Bさんは同じページ01を2回見ています。トップから別のページに行ってまた戻ってくる、というのはよくある行動ですね。

 ページ01:ページビュー数3 ページ別訪問数2
 ページ02:ページビュー数1 ページ別訪問数1
 ページ03:ページビュー数1 ページ別訪問数1

となります。ページビュー数は合計5で、これは「ユーザー > 概要」で見るページビュー数と一致します。ページ別訪問数は合計4になります。2人が1回ずつ訪れたのですから、セッション(訪問数)は2のはずです。「ユーザー > 概要」には「セッション 2」と出ます。

なぜページ別訪問数の合計が全体の訪問数よりもはるかに大きな数字になるかと言えば、1人の人が何ページから見た、ということを反映するのがページ別訪問数の合計だからです。

前回ご説明しましたが、Googleアナリティクスにおける「ページ別訪問数」はあくまで「Unique Pageview」の訳で、同じ人が2回同じページ見たというだぶりを除いたページビュー数のことを言っているのです。この例では、1人が2つのページを見ているので、ページ別訪問数の合計4はセッション2のちょうど2倍になっているわけです。

ところで、同じサイトのデータで、閲覧開始数の合計を見ると、

 「ユーザー > 概要」 セッション958、ページビュー数1,974
 「すべてのページ」 ページビュー数1,974 ページ別訪問数1,569 閲覧開始数957

となっていました。

 セッション958 閲覧開始数957

と、閲覧開始数の合計が、セッション(訪問数)の合計と誤差はありますが、ほぼ一致しています。セッションには必ず1回ずつ「閲覧開始」のタイミングがあるので、閲覧開始数の合計がセッションと一致するのは当然のことでですね。

同じ考え方で、セッションには必ず1回ずつ「離脱」のタイミングがあります。だから、このあとご説明する「離脱率」から算出した各ページの離脱数を合計したら、これもセッション(訪問数)と一致します。

Googleアナリティクスでは、「すべてのページ」を見る際、「セッション」が見られません。ぜひ「閲覧開始数」の合計を見て、参考にしてください。

なぜそんな参考が必要かと言うと、次の事情があるからです。

●一番アクセスが多いトップページは「多く」見られているか?

先ほどと同じサイトのデータで、「すべてのページ」を見ると、一番に表示されるのはトップページでした。

 ページ ページビュー数 ページ別訪問数 閲覧開始数
 1. /    377       301      278

となっています。これを見ると、「ああ、やっぱり一番多くアクセスされているのはトップページなんだな」と理解できます。その理解自体は間違っていません。でも、これを眺めていると「一番大切な情報はトップページに書いておこう」となりがちです。

ここで、閲覧開始数の合計と、トップページのページ別訪問数を比較する必要が出てくるのです。

 ページ別訪問数 301 ÷ 閲覧開始数合計(≒セッション) 957 = 31.5%

と、非常に多く見えたトップページですが、全体のセッションからするとわずか31.5%の人にしか見られていないことが分かります。トップページだけに表示した情報は、訪問者の3割にしか見られていないのです。

「すべてのページ」を見ているとトップページはやはり重要なページだ、と思えますが、今、セッション数に対してトップページが見られる割合(トップ閲覧率)は、どんどん下がっています。今見ている例はトップ閲覧率の比較的高い、小さな会社の小さなサイトのものですが、検索や広告などの盛んな活発なサイトほどトップ閲覧率は下がります。

私が見たことのあるトップ閲覧率で一番小さな数字は、セッションのわずか0.1%です。1000人に1人しかトップを見ていなかったのです!

もちろん、トップページが重要であるというのは間違いありませんが、「すべての人がトップを見る」と考えていた時代と、今とでは、トップが重要だという意味合いはまったく変わっています。

皆さんも一度、自社サイトで、

 トップのページ別訪問数 ÷ 閲覧開始数合計(≒セッション) = トップ閲覧率

を計算して、トップがどれくらいの比重なのかということを確認してください。

もしトップ閲覧率が非常に小さければ、他のページにもニュースを表示しなければ、多くの訪問者がニュースに気付かないということになります。私は、セッションの8割の訪問者に見せるには何ページに表示しなければならないかを計算しています。

今はトップ閲覧率が下がって、非常に多くのページが集客するようになっていますから、たくさんのページに情報を表示しないと多くの人に気付いてもらうことが難しくなっているのです。

●集客シェアの計算

トップの閲覧率が低いとなると、「じゃあ、うちのサイトは何が多く見られているんだ?」ということが気になります。これは、エクセルの機能を使って、各ページについて計算をすると良いのです。

 ページ別訪問数 ÷ セッション(訪問数)= 訪問シェア
 閲覧開始数   ÷ セッション(訪問数)= 集客シェア

です。ページ別訪問数の多い順にページを並べ、訪問シェアの高いものを順に合計して累積シェアをとり、それが何ページでセッションの8割に到達するか、ということを見てみると良いでしょう。大切なのはその顔ぶれです。

8割というのが妥当かどうかは会社ごとに評価が違うかもしれませんが、「見せたいページがちゃんと見られているか」ということについて、シェア8割に到達するまでの顔ぶれに、「見せたいページ」が入っているかどうか。そのページがシェア何%か。これは重要な評価ポイントです。

集客シェアは、SEOやコンテンツマーケティング、広告出稿の成果を評価するのに欠かせません。SEOやコンテンツマーケティングでは閲覧開始ページが分散しがちなので、集客シェアが高いページは少なく、どんぐりの背比べになります。しかしその中で、狙っているページが上位になっているかどうか、前月よりも増えたかどうかはとても大切な管理指標だと言えます。

しかし、この管理はとても面倒くさいのですね。ツールを整えなければ大変で、前月よりも増えたかどうか、ついつい管理できないまま半年たってしまった、あのSEO施策と費用は果たして意味があったのか? となります。

この具体的な方法についてはもう少し先にご説明することにして、まずは「すべてのページ」の項目説明を終わらせてしまいましょう。

また長くなりました。「直帰率」「離脱率」「ページの価値」について次回ご説明します。