ページごとのアクセス数を月別で解析しましょう(1) Googleアナリティクスのページ指標の定義(前編)
ホームページにはたくさんのページがあります。まずはサイト構成表を作成して、何ページあるかをしっかり把握するようにしましょう。ホームページにはたくさんのページがあります。まずはサイト構成表を作成して、何ページあるかをしっかり把握するようにしましょう。
ウェブ担当者は、このページの中で、「見てほしいページ」のアクセス数を伸ばすことが大切な仕事です。
ページのアクセスというのは公開してすぐにピークを迎え、放っておくと徐々に減っていくのが自然です。最初はサイトのお知らせに掲載するなどしてアクセスを促進しますが、時間が経つとアクセスしやすさが減ってしまうためです。
また、このページを見たいと思う人が日本に1,000人いると考えてみましょう。その1,000人が毎月少しずつ訪れてページを読んでいくわけですが、一度読んだ人は何度も繰り返し訪れることは少ないかもしれません。だとすると、見たいと思うような人がだいたい見てしまったら、そのページを見る人の数は徐々に減っていくのが自然ということになります。
しかし、私たちはさまざまな施策を行って、「見せたいページ」のアクセスがもっと増えるようにしていかなければなりません。
●「見てほしいページ」とはどれですか?
では、「見てほしいページ」はどれとどれでしょう? 自社のサイトの中で、どれが見てほしいページか、決まっていますか?
これはさまざまなページが考えられます。たとえば次のような顔ぶれになるでしょう。
製品情報では…
・売りたい新製品の特長ページ
・主力商品のページもアクセスが減っては困る
・既存顧客には、納入製品の消耗品についてのページを見てほしい
・ブランドイメージを高めるコンテンツ
企業情報では…
・取引先が魅力を感じる「会社の実力」を示すページ
・長い歴史を伝える沿革のページ
採用情報では…
・新卒採用のための職場文化を示すページ
・中途採用のための募集要項
・エントリーフォーム
その他では…
・お問い合わせフォーム
・よくあるご質問
・技術情報
・納入事例
・面白い知識コンテンツ
たくさんありますね。売りたい製品の特長ページなどは複数あるかもしれません。これは「見てもらいたい人」つまりターゲットが複数あるので、それぞれに見てもらいたいページがある、ということになります。
ウェブ担当者になったら、真っ先にターゲットを整理して、「今のホームページでは、このターゲットにはこのページを見てもらいたい」という対応を決めることです。
全体の訪問者数が少ないようであっても、「見せたいページ」のアクセスが少しずつ増えていけば、そのホームページは成果に向かっていると言えます。
逆に、山ほど訪問者があっても、見せたいページが見られていなかったら、何のために集客しているか分かりませんね。
●Googleアナリティクスの「すべてのページ」
見せたいページが定まったら、エクセルのサイト構成表に1列追加して、「重要」という列をつくり、見せたいページに●印を入れていきましょう。この印を入れたページのアクセスを伸ばすことが私たちの仕事の1つとなります。
ちなみにエクセルですから、フィルターをかけて「重要」列で「●」がついている行だけに絞り込めば、それらのページのアクセスが伸びているかどうかを絞って確認することができるようになります。
ページのアクセスを調べるには、Googleアナリティクスの項目名では
行動 > サイトコンテンツ > すべてのページ
という項目を見ます。データのあるすべてのページが「ページビュー数」の多い順に並べられて、表示される項目です。
ここには、
ページ ページビュー数 ページ別訪問数 平均ページ滞在時間 閲覧開始数 直帰率 離脱率 ページの価値
という項目が並んでいて、総合的にページの評価をすることができます。
ウェブのアクセス解析は言葉がややこしいので、少しだけ言葉の定義をご説明しておきましょう。
・ページ
まず、「ページ」は特別に設定していなければ、ドメインを除いたページのURLを表示しています。トップページは「/」となります。ウェブ担当者はこの表示を見るだけでどのページか分かる、ようにしておきたいものですね。
ウェブ担当者は「/products/」というURLを見れば「ああ、製品情報のトップだな」と理解できますが、役員や他の社員はURLが分からないのが普通です。社内でアクセスデータを記録する場合には、そのページがどんな内容なのかを伝えるために、「ページタイトル」を表示しておきたいものです。
ページタイトルをGoogleアナリティクスの「すべてのページ」の表に表示するには、表の上にある「セカンダリディメンション」というボタンを押して、表示される窓の検索欄に「タイトル」と記入します。すると「ページ タイトル」という候補が表示されますから、それをクリックして選択します。そうすれば「ページ」という項目の右側に「ページ タイトル」という列が表示されます。
・ページビュー数、ページ別訪問数
次が「ページビュー数」です。ページが表示されたことをページビューと呼びます。これはその次の「ページ別訪問数」と関係が深く、
1人の1回の閲覧行動を「訪問数」と言う
あるページを1人の人が1回見たことを「ページ別訪問」と言う
その人がページを表示したことを「ページビュー数」と言う
ということになります。
1人の人が1回訪問して、ページAを2回表示したとすると、
ページA:ページビュー数2 ページ別訪問数1
となります。100人のうち20人くらいの人が同じページを2回表示するので、
ページビュー数 = ページ別訪問数 × 1.2
となるのが普通です。
ページA:ページビュー数1,200 ページ別訪問数1,000
ということですね。
一度、この「すべてのページ」のデータをダウンロードしてエクセルで開き、
ページビュー数 ÷ ページ別訪問数
の計算を全ページに対して行ってみてください。たいてい、1.2くらいの数になるでしょう。サイトによってはこの値が大きく、1.8~2.0くらいが普通になるサイトもあります。これは訪問者がサイト上で行ったり来たりしているわけです。
ところが、全ページを計算してみると、中には3.0以上の大きな値になるページもあるのです。1回のアクセスで同じページが3回も表示されているのですね。
ページビュー数 3,000 ÷ ページ別訪問数 1,000 = 3.0
といった感じです。これを見ると、「ページビュー数が多い」ことは必ずしも「ほめるべきこと」ではないような気がしますね。Googleアナリティクスではページビュー数の多い順にページを並べるのがデフォルトなので、ページビュー数が多いほど良いページのように見えますが、そうとは限りません。ナビゲーションが悪いために同じページが何度も見られているだけ、ということもあるのです。
中にはこの割り算の値が10を超えるページも見られます。1回の訪問で同じページを10回も表示するとなるとこれは異常です。もしかしたら人のふりをしたプログラムによる自動的なアクセスが含まれているのかもしれません。
こうした事情があるので、ページを評価するのに私はあまりページビュー数を使いません。ページ別訪問数を使った方が、「何人が見てくれた」ということを反映しているので、ページ評価には適切だと考えています。(これは私個人の考えですから、ページビュー数を採用する会社があっても問題ではありません)
ちなみにページ別訪問数はGoogleの原語(英語ですね)では「unique pageview」(ユニーク・ページビュー)と言います。ページビュー数から同じ訪問で2回以上見られた「だぶり」を除いた数という意味で、結果、訪問数に一致するということになります。
・平均ページ滞在時間
平均ページ滞在時間は、ページAが表示されてから、次のページBが表示されるまでの間隔を、ページAの「ページ滞在時間」として計っています。もしページAが閲覧の最後のページ(離脱ページ)になったら、次のページが表示されておらず、間隔を計算できないので、ページ滞在時間は計算されません。
ページA:ページビュー数100 離脱数30
だったとすると、このページAの平均ページ滞在時間は70回のページビューの平均で計算されています。離脱された30回については平均に含まれていないことにご注意ください。
ページA:ページビュー数10 離脱率9
と、ほとんどが離脱してしまったページの場合は、「平均」ページ滞在時間と言っても、たった1回だけのページ滞在時間だけで決まってしまいます。
ところで、すべてのページのデータをダウンロードしてエクセルで表示すると、
ページ ページビュー数 ページ別訪問数 平均ページ滞在時間
/ 371 295 49.54
といった具合に、変な小数に変換されてしまいます。この時間、ブラウザで表示されていたときは
ページ ページビュー数 ページ別訪問数 平均ページ滞在時間
/ 371 295 00:00:50
と表示されていたのに、変わってしまいました。これはエクセルで変換してあげないといけません。1日の秒数は86400秒なので、これで割り算して、
49.54 ÷ 86400 = 0.00
とし、この「0.00」をエクセルの「セルの書式設定」で「時刻」を選んでやれば
0:00:50
と、正しい表示に変換できます。エクセルなので頭の数字が「00」ではありませんが、これはそういうものだと思ってあげてください。
・閲覧開始数
これはとても重要な指標です。ゆっくりご説明したいので、項を改めることにしましょう。次回、詳しくご説明しますね。ご期待ください。