リード文 ページ上部に自然にテキストを含む文章術

ホームページの原稿パーツの中で、目に見える文章として重要なものの1つが「リード文」です。これをしっかり書くことができればウェブの文章に適切にキーワードを持たせることができるので、有効です。

●リード文とは?

リードとは「Lead」、導く、率いる、先立つ、という意味で、もともとは新聞や雑誌の文章に欠かせないパーツでした。

新聞の紙面を思い浮かべていただくと、

 大きな見出し
 小さな文字の本文

というのが一番コアとなる文章構成です。一般に、新聞記事の見出しは、大きな文字で、読者の目をひきつけるようにつくられています。一方、本文は小さな文字で、詳しく内容を記載しています。

ただ、見出しで興味を持ったとしても、いきなり小さな文字の本文が出てくると、どうしても読みにくいものです。

そこで、見出しと本文の間に、全体の記事を要約するような文章がはさまっています。これを本文を率いるといった意味合いで、「リード文」と呼ばれます。本文を読む前にリードを読めば、記事の内容がだいたい理解できるので便利です。

本当に興味があるなら本文を読めば良いですし、それほどでもないな、と思ったら、見出しとリードだけを読んでも、だいたい何が起こっているのかは把握できるのです。

リード文の文体について、非常に分かりやすい例を挙げるなら、テレビのニュース番組を思い浮かべていただくと良いでしょう。テレビのニュースは、必ず最初にだいたいの内容を先に言ってから、改めて詳しく説明するという2段構えになっています。

きょう未明、新宿で車2台の衝突事故があり、乗っていた2人がけがをしました。

4月20日午前4時半ごろ、新宿区〇〇〇の国道で、軽乗用車とトラックが正面衝突する事故が発生しました。軽自動車を運転していた50代の男性が足を骨折、トラックの運転手も軽いけがを負いました。50代の男性は病院に運ばれましたが…(以下、本文が続きます)

ニュースはだいたいこのような構成になっています。最初の「きょう未明」は、「4月20日午前4時半ごろ」のこと。「新宿で」を少し詳しく言うと「新宿区〇〇〇の国道で」となります。このように、最初の文章で全体を伝えたあと、詳しく説明を加える、という2段構えになるのです。

この2段構えによって、初めて報に接する人でも内容がきちんと整理されて頭に入りやすくなりますね。いきなり詳しい説明から始まってしまうと、細かいところばかりで頭に収まりません。

●ウェブページでのリード文の位置

この最初の「おおざっぱに全体を伝える」部分がリード文にあたります。この本文がどんなことを言っているのか、要約して伝えることで読者の理解を助け、興味を持たせるというのがリードの役割だと言えます。

 ショルダータイトル
 見出し
 リード
 本文

前回ご説明したように、見出しも2段構えにして、ショルダータイトルで内容を伝え、見出しで読者の興味を引き、リードでだいたいの内容を理解させるから、「本文を読もう」という気になる、という仕組みです。

サンプルをつくってみると、こんな感じになります。

ウェブのアクセス解析ノウハウ教えます(ショルダータイトル)
意外なページが集客している?(見出し)

ホームページでは意外なページが自然検索から訪問者を集客しています。それに気づかないとせっかくの検索者が1ページだけ読んで直帰してしまうことも。今回は全ウェブページの集客力をアクセス解析し、それを生かす方法を考えてみましょう。(リード文)

ウェブ担当者はできるだけ多くの人を検索などから集めようと苦労していますが、意外なページが検索訪問者を集めていることがあります。たまたま文章の中に多くの人が検索しているキーワードが含まれているといったことが考えられますね。たまたまですが、そのページがあるおかげで毎月数百人を獲得できていた、ということもあります。気を付けなければならないのは・・・(本文)

本文ではどうやらこの後、検索からの集客の多いページを調べるアクセス解析方法が解説され、検索訪問者をお問い合わせに向かわせるテクニックが語られるのでしょう。本文を読む前に、リードを読むだけでその構成が理解できるわけです。

こんな風に、ウェブページでも本文の前にリード文を入れることで、内容の理解が早くなります。

科学論文を書いたことがある方なら、論文の冒頭に必ず「サマリー」という部分があるのをご存じですね。このサマリー(要約)というのは新聞などで言うリード文と似た役割を持っています。いずれも本文の前にこうした要約を置いているのです。ホームページでもぜひ真似してほしい構成です。

●リード文にはキーワードが濃縮されます

本文で長く語っている内容を、全体的に要約してリード文にし、本文の前に掲載する。この構成は読者の理解を助けるだけではなく、ウェブページならではの役割を背負います。

それがキーワードをページ上部に濃縮するというものです。長い本文だとどうしてもキーワードがページの全体に拡散してしまいがちです。主題とは直接関係なさそうな「たとえ話」も出てきて、検索訪問者を集めたいキーワードの密度としては薄くなってしまうものです。

ところが、リード文は「ページ全体の内容の要約」ですから、自然にキーワードが短文の中に詰め込まれることになります。

  •  ホームページでは意外なページが自然検索から訪問者を集客しています。それに気づかないとせっかくの検索者が1ページだけ読んで直帰してしまうことも。今回は全ウェブページ集客力をアクセス解析し、それを生かす方法を考えてみましょう。(リード文)

無理やりキーワードを入れ込むことはないのですが、要約をすることで自然にキーワードが集まってきます。実際に検索エンジンがページを紹介する場合も、検索されたキーワードがリードの中にあれば、紹介の文章としてリードの部分が使われる場合もあります。リード文は内容の要約ですから、ページを検索エンジンが紹介するのにとても適したものだと言えるでしょう。

●リードは最後に書いても大丈夫

このようにリード文はページの先頭に置いて、

 ・読者の内容理解を助ける
 ・中身への期待感を持たせて本文に進ませる
 ・キーワードをページの上部に凝縮する

という大切な役割を持っています。と言っても、難しく考えることはなく、ページ内容を書いてからその全体を要約する、と考えて書けば良いのです。だから、1ページの内容を書いたら、最後に全体を読み返して100文字程度にまとめてリード文をつくります。ちなみに先の例のリード文は112文字です。

企業サイトのページにはリード文がないものが多いですが、事例や詳しい製品特長紹介など少し長めの読み物ページをつくる場合は、ぜひリード文を入れて、集客力もあって読みやすいページに仕上げてください。

では、次回はいよいよ、長い本文ページの書き方を考えていくことにしましょう。