ホームページのアクセス解析の数字を月次でとる方法
ここからはGoogleアナリティクスを使ってサイトを改善する方法を考えていくことにしましょう。
サイトを改善するには、毎月、あるいは毎週、データをとっていかなければなりません。広告を多く出稿するなどしてスピーディーな運営を行っている会社では、月単位では間に合いませんから、毎週あるいは隔週のデータをとっていくことになるでしょう。
一般的な企業サイトでは月次のデータを追っていくことがサイト改善のためのベースとなります。前の月に改善施策を打てば、その翌月にデータをとってみるとサイトが良くなっている。その改善具合をつかむことが企業にとって一番のウェブノウハウとなります。何をやったら成果が上がるのか、何をやったら空振りなのか、を理解していけば、徐々に成果の高い方法でウェブ運営を行えるようになり、打率の高いホームページになっていくのです。
また、ウェブ担当者にとってはそれが自分の評価そのものとなります。ウェブ担当者が給料をアップしていくためには、月次のデータをとり、毎月どれだけの作業をして毎月どれだけ改善しているかを証明しなければなりません。
この話をするとウェブ担当者からは苦笑いが起こり、「厳しいなあ」と反応があるのですが、月次で的確にデータを追って会社に報告していけば、客観的に成績を示すことができるのですから、主観的に査定されてしまうことの方が多い企業社会では恵まれた環境であるはずです。
しかも、改善作業をしてデータをとって、ということを繰り返していけば、かなりの確率で成績を高めることができますから、心配することはありません。
●Googleアナリティクスでは月次のデータがとりにくい
ところが、残念ながらGoogleアナリティクスは考え方が外人であるからか、「月次」でデータを追うということができにくくなっています。そこで、毎月のデータを処理する方法について、日本らしい方法を考えていかなければなりません。会社への報告もままならないということになります。
たとえば今、4月になったところだとしましょう。月次のウェブ会議は月の第2週の木曜日といった決まったスケジュールで開催されます。2021年4月であれば、4月8日(木)です。
提出するデータは2021年3月一か月のデータです。Googleアナリティクスで3月一か月のデータをとる方法を見ていきましょう。
(1)ユーザー > 概要 を表示する
(2)期間指定のカレンダーを表示する
(3)3月を選択してデータを表示する
(4)データを記録、もしくはダウンロードする
順番に見ていきましょう。
(1)ユーザー > 概要 を表示する
まず、Googleアナリティクスの左ナビゲーションを使って、「ユーザー > 概要」のデータを表示しましょう。この画面が一番、基本的なデータを網羅しているので、月次で会社にホームページの状態を報告する際の基本となるでしょう。
(2)期間指定のカレンダーを表示する
今が4月5日(月)だとすると、あと数日で報告会に出すデータをまとめなければなりません。初期状態ではGoogleアナリティクスでは直近1週間や30日分のデータが表示されているはずです。そこで、画面の右上の期間表示のところに
2021/03/29 – 2021/04/04 ▼
という形で表示されているでしょう。これを
2021/03/01 – 2021/03/31 ▼
に変えれば良いわけです。
この日付表示のところにカーソルを合わせると、カーソル矢印がリンクを示す手のマークに変わります。つまり日付がクリックできるわけですね。これに限らず、Googleアナリティクスでは「▼」がついている項目はクリックできることを示していますから覚えておくと良いでしょう。
クリックすると、日付指定のカレンダー画面が表示されます。
(3)3月を選択してデータを表示する
カレンダー上で、2021年3月と青文字で書かれたところをクリックすると、それだけで日付のところが
2021/03/01 – 2021/03/31
に変わります。このカレンダーの扱いやすさが、Googleアナリティクスの良いところだと思いますので、ぜひこの期間指定機能を覚えてください。これで「適用」というボタンを押せば、カレンダーが消えて、Googleアナリティクスがデータを再集計し始めます。
(4)データを記録、もしくはダウンロードする
少し待てば、今指定した2021年3月1日~31日の1ヶ月のデータを表示してくれます。この「ユーザー > 概要」では、
ユーザー 新規ユーザー セッション ユーザーあたりのセッション数 ページビュー数 ページ/セッション 平均セッション時間 直帰率
というデータが表示されているでしょう。この数字を記録して、エクセルに毎月つけていけば良いのです。
ユーザー 新規ユーザー セッション ページビュー数
2021年1月 316 309 348 759
2021年2月 270 264 316 591
といった記録表を用意して、そこに
2021年3月 338 327 392 758
と追記すれば良いのです。面倒だと思いますが、これを蓄積していけばグラフもすぐ描けるので、この記録作業を基本的に行ってください。
しかし、これだけでは、月と月の比較が適切に行えません。次はそれを考えていきましょう。
●月次のデータを30日換算して本当の増減に迫る
今記録したデータは、
ユーザー 新規ユーザー セッション ページビュー数
2021年1月 316 309 348 759
2021年2月 270 264 316 591
2021年3月 338 327 392 758
となっています。ユーザーやセッションを見ると、1月よりも2月のアクセスが少なくて、3月はアクセスがまた多くなっています。しかし、2月は28日しかありません。1月と3月は31日あります。これをそのまま比較しても、増えているのか減っているのか分からなくなります。
ここではセッションの数字を見てみましょう。
セッション
2021年1月 348
2021年2月 316
2021年3月 392
となっていますが、各月の日数を加味して比較できるようにしなければなりません。エクセルに1列追加して、月の日数を記入しましょう。
日数 セッション
2021年1月 31 348
2021年2月 28 316
2021年3月 31 392
これをもとに、仮に1月が30日だったら、という数字に変換していきましょう。2021年1月の場合は、31日で割って30日をかけると、
348 ÷31 ×30 = 337
337セッションというのが換算値ということになります。全部同じように計算すると、
2021年1月 348 ÷31 ×30 = 337
2021年2月 316 ÷28 ×30 = 339
2021年3月 392 ÷31 ×30 = 379
となります。×30は定数です。これが30日に換算したセッション数となります。
セッション(30日換算)
2021年1月 337
2021年2月 339
2021年3月 379
となれば、実は2月は1月よりも多かったことが分かります。2月は日数が3日も少ないので実数で見ると1月より少なくなってしまいますが、同じ30日に換算するとずいぶん違って見えるでしょう。
このデータでは、1月と2月はほとんど同じセッション数ですが、3月はやや大きく増えたことになります。報告会ではぜひ「3月のアクセスは前月比112%に伸びていました!」と報告しましょう。
もちろんそれを聞いた人は「何が増えていたんだ?」と質問してきますから、「リピーターが伸びたんです」とか、「検索対策のおかげで自然検索からの新規訪問者が伸びたんです」と理由になるデータを深堀りしておきましょう。
今回は、Googleアナリティクスから月ごとのデータをとって30日換算し、どれくらい増えたかを調べる方法について解説しました。次回はページのアクセスについて、月次で追いかけていく方法を検討しましょう。