サイトのドメイン情報をしっかり管理すること

ホームページには「ドメイン」という大切なものがあります。当社、株式会社ミルズのサイトで言うと

「https://mils.co.jp/」

というのがトップページの住所(アドレス)ですが、その中の

mils.co.jp

の部分がドメインです。ドメインとは「領域」「区域」を表す英単語で、企業では「どんな領域で事業をしているか」ということを「事業ドメイン」と言った利しますね。

ウェブでは、「このホームページを見よう」と思ったら、検索結果や広告をクリックしたりアドレスを入力したりしてリクエストをします。このリクエストはホームページが掲載されているサーバーを目指して飛んでいき、たどり着いたらサーバーが「あなたの見たいページはこれですね」とデータを出してくれるのでホームページを見ることができるわけです。

しかし、世界中のどこのサーバーにそのデータがあるか分からないのに、リクエスト信号はどうやってインターネット上を飛んでいくのでしょう?

●ドメインには本当の所番地「IPアドレス」が結びついている

かんたんに言えば、あるホームページが乗っている場所(サーバー上の一区画)に所番地が決められているからです。この所番地のことを「IPアドレス」と言います。IPアドレスは

111.111.111.111

といった、ドットで区切られた12桁くらいの数字です。これが世界のある1ヶ所を表す所番地となっているので、リクエスト信号はその場所を見つけ出すことができるのです。

ただ、この12桁の番号を、誰もが覚えておくというのはほぼ不可能です。見たいホームページを全部12桁の番号で記憶するというわけにはいきません。

そこで、12桁の番号のIPアドレスには覚えやすいニックネームをつけることができる決まりになっています。旅館などで「501号室は富士山が良く見えるから『富士の間』と名付けよう」というのと似ていますね。このニックネームは移動させることができ、「新館の1201号室の方が富士山が良く見えるようになったからこれからはこの部屋を『富士の間』と呼ぼう」と言うことができます。

この富士の間というニックネームが、ドメインということになります。

これなら、人間は会社名と良く似たドメインさえ覚えていれば良いので多少は楽ですね。ホワイトハウスのサイトが見たければ、「ホワイトハウスはアメリカの政府機関だから、

whitehouse.gov

だろう」とあてずっぽうでも正解できそうです。

世界中のホームページ領域のIPアドレスはデータベースに登録されていて、それとドメインの関係が記憶されているので、世界のどこにそのホームページがあっても、私たちのリクエストはたどり着くことができるという仕組みです。

このドメインネームは、同じものは世界に1つとありません。基本的には先に申し込んだ方が優先されるという早い者勝ちのルールで、希望の名前を取得することができます。

しかし、世界に1つだけの名前を登録するなんて大変なことですね。商品名の商標登録では、世界中の商品とだぶらないように調べるのに各国の調査代金だけで何十万円もかかる、というのでは困ります、

たとえば日本のドメインは、「.co.jp」「.jp」といった形で区分されていて、海外に同じ名前があることはこれだけで避けられます。

ただ、これは「権利を押さえている状態」です。うちの会社なら、

mils.co.jp

という会社名そのままのドメイン名を取得できましたが、日本の他の場所には「ミルズ」という名前の会社はたくさんあることでしょう。この同名の会社さんは、「うわ、mils.co.jpの権利は獲られてしまってる!」と残念な思いでおられるかもしれません。

ただ、会社は永遠に存続するものでもないし、会社名を変える場合もあるでしょう。うちも会社名を変えたら、「mils.co.jp」というドメインが要らなくなることも考えられます。そうなると、mils.co.jpというドメインの権利が空いて、同名の他の会社さんがこの名前を使うことができるようになります。

 

●ドメインの権利には「期限」があるのでご注意を!

自社が持っているこの使用権を一度手放してしまうと、二度と使える保証はありません。権利には期限が決まっているので、期限が来るたびに更新しないと、この権利を失ってしまいます。

111.111.111.111 → このIPアドレスが「mils.co.jp」

だとデータベースに登録されているとして、株式会社ミルズは「https://mils.co.jp/」というホームページを名刺にも刷り込んでお知らせしています。ところが、うっかり期限が来てこの権利が切れてしまったら、よその会社がこのドメインを取得して、

222.222.222.222 → このIPアドレスが「mils.co.jp」

と、別のサーバーのIPアドレスとドメインが紐づけされてしまいます。いくらうちの会社が「111.111.111.111のサーバー上で『mils.co.jp』と書かれたホームページ」を掲載していても、サイトを見たい人のリクエスト信号が

mils.co.jpってどこにありますか?

とデータベースに聞き合せたら、

mils.co.jpは222.222.222.222にありますよ

と答が返ってきて、みんな新しい会社の方を見に行ってしまいます。つまり、当社のホームページは見られなくなってしまう状態になるのです。

(なくなってしまったわけではありません。IPアドレスを使って「https://111.111.111.111/」といった形で指定すれば、ちゃんと表示されます。しかし、そうやって見てくれるお客様など1人もいないと思う他ないですね。)

すべてのドメインネームは、その利用権を押さえていられる期限が決まっています。日本のドメイン名であれば、

https://whois.jprs.jp/

これは株式会社日本レジストリサービス(JPRS)の提供するドメイン名登録情報検索サービスです。ここでドメイン名を入れて検索すれば、そのドメインは誰が持ち主で、有効期限がいつまでか、が分かるようになっています。ドメインのこうした情報は公開情報なので、よその会社のドメイン情報でも検索できます。

ぜひ一度、自社のドメインが誰が持ち主で、いつが期限なのかを確認しておくと良いでしょう。

中小零細企業ホームページでは、こうしたシステム上の権利について社内に扱う部署がないため、「外部の業者にドメインをとってもらった」ということが少なくありません。業者と取引が続いているうちは良いのですが、関係が切れてしまうとドメイン情報を更新できなくなり、期限が切れて「突然ホームページが見られなくなってしまった!」という笑えない出来事が、実はけっこうあります。注意しましょう。

ドメインの情報は、レンタルサーバーのアクセス情報などと一緒に、社内できちんと管理することです。「社長のひと声で今日からウェブ担当になってしまった、全くインターネットの素人」という担当者であっても、これだけは管理していなければなりません。

次回からは自社のホームページの内容についての情報に入っていきましょう。