検索集客をもう「SEO」と読んではいけないこれだけの理由 1
■ SEOの本当の定義をご存知でしたか?
SEO、というのは説明不十分なウェブの世界でも、一番間違った考え方が広まっている分野です。ただ間違っているだけなら良いのですが、そのために施策の結果が悪くなり、不適切な施策を行う業者に高い費用を払うことになっています。
私は「SEO」という言葉をもう終わりにし、企業自身が自ら行えるものとして再定義する必要があると思っています。専門家の手を借りるにしても、計画の部分はぜったいに企業自身が握っていなければなりません。
それを考え始めるために、まずは世のSEOの説明からひも解いていきましょう。
●多くの「専門家サイト」による説明
この言葉について「SEOとは」と検索してみると、
SEOとは、”Search Engine Optimization” の略であり、検索エンジン最適化を意味する言葉です。検索結果でWebサイトがより多く露出されるために行う一連の取り組みのことを”SEO対策”と呼びます。
https://www.seohacks.net/basic/knowledge/seo/
といった言葉が並びます。「検索結果で多く露出」「検索結果で上位に表示させる」というのが主な説明というところです。Web担当者Forumさんでは、
検索エンジンからサイトに訪れる人を増やすことで、Webサイトの成果を向上させる施策のこと。特定のキーワードで検索された場合の検索結果で、自分のサイトのページを上位に表示させるように、ページやサイト、さらにサイト外の要因を調整することが多い。
https://webtan.impress.co.jp/g/seo
であり、Ferretさんでは
SEO対策(Search Engine Optimization)とは、検索結果で自社サイトを多く露出をするために行う対策のことです。検索エンジン最適化とも呼ばれます。
https://ferret-plus.com/1733
となっています。
SEOとは”Search Engine Optimization”の略です。直訳すると「検索エンジン最適化」となります。さらに噛み砕いて言うと、自然検索からの流入数・CV数を増やすために行う様々な施策のことです。検索エンジンでより上位に表示させたり、よりクリック数が増えるようにしたりするための施策が含まれます。
https://wacul-ai.com/blog/seo/seo-basic/what-is-seo/
みなさん、おおむね意見が一致しているように思います。もう1つ、Wikipediaも見ておきましょうか。
検索エンジン最適化(けんさくエンジンさいてきか、英: Search Engine Optimization, SEO、サーチ・エンジン・オプティマイゼーション)とは、検索エンジンのオーガニックな検索結果において特定のウェブサイトが上位に表示されるようウェブサイトの構成などを調整すること。また、その手法の総称。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%9C%E7%B4%A2%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E6%9C%80%E9%81%A9%E5%8C%96
これはあくまで、「初心者のための最初の説明」というものなので、分かりやすく書いておられます。あまり細かく正確な定義をしようとは考えておられないのだと思います。
●この説明のどこが、企業にとって「不都合」なのか?
「上位に表示させる」「多く露出される」に含まれている「させる」「される」には、どちらも「検索エンジンに」という言葉を補うことができます。これはSEOの「対象」が検索エンジンであるという間違った説明になっているわけです。
今や検索エンジンと言えばGoogleの検索システムを指しますから、「Googleに上位に表示させる」「Googleに多く露出される」のがSEOのゴールだということです。
この考え方から導き出されるのは、
Googleの上位表示ルールを知らなければならない
です。しかし、Googleの上位表示ルールは非公開ですから、素人にはうかがい知れません。Googleの専門家たちがアメリカのブログで発信している内容を英語で常時読んでいる人しか分からないことです。毎日、検索結果をモニターして、「順位が大きく変動した」といった知見を持っている人にしか分かりません。
つまり、「Googleに上位に表示させる」「Googleに多く露出される」方法は、SEO専門業者にしか分からないのです。これを誰が言っているかというと、SEO専門業者です。やれ「ペンギンアップデートが」「パンダアップデートが」と言い、「Googleのウェブマスターガイドライン」を熟知した人が出てきて「私に任せなさい」というわけです。
SEOはSEO業者にしかできない。これが第1の間違いです。
●SEOの本当の定義とは
先の引用にもあった通り、SEOは「Search Engine Optimization」の略です。これが難しい言葉なんですね。サーチエンジン最適化、というと、いかにもサーチエンジン向けに何かの対策を行うように聞こえますが、そうではありません。
前半の「Search Engine」ですが、これは「サーチエンジンに対して働きかける」ではありません。「サーチエンジンを通じて」という意味です。
サーチエンジンを通じて、顧客に対して働きかける
というのが正しい解釈です。SEOはサーチエンジン・マーケティングの一環です。マーケティングとは顧客と出会い、顧客を知り、顧客に働きかけることです。SEOがマーケティングであるからには、対象がお客様なのは当然のことなのです。検索エンジンのルールを知る、いわゆるアルゴリズムの変化を追いかけることには、あまり意味はありません。それは手段の1つであり、「道具のことを知っておくことは大切ですね」と言っている程度のことです。
すべては「お客様のこと」を考えることです。
これは、実はSEO業者よりも御社の方が得意です。SEO業者は「このキーワードは検索回数が多いです」「このキーワードはライバルが少ないから有利です」ということは調べますが、御社のお客様のことなら御社の方がよくご存じのはずです。
後半の「Optimization」は非常に難しい意味の言葉です。「最適化」と言うと、何だかテクニック的に、サイトのソースをちゃちゃっと直せば最適化できました、という軽い響きを持っているようです。業者に任せておけば知らないうちに「SEO対策できました」と言ってくる。何やら楽そうです。
でもこの言葉は、本当は「進化論」の言葉です。適者生存。環境に合わせて自分の姿を変えたものだけが生き残るという、なかなか厳しい意味を持った言葉なのです。どうして蝶の羽根の模様は目玉に似ているか? どうしてキリンの首は長くなったのか? というやつですね。
自分を変えていかなければ生き残れない。これは大変です。ちゃちゃっと対策して終わり、というわけにいきそうもありません。環境とは、Googleのアルゴリズムではなく、お客様が何を選ぶか、です。
私たちはお客様を他社と取り合っているのですから、これはまさに生き残りの問題です。
そこで、SEO = Search Engine Optimization の定義をもとめておきましょう。
SEOとは、
お客様が選ぶ方法や必要としていることに適応して生き残るために、ウェブサイトが構成や内容を変えていくこと
です。これを媒介しているのが検索エンジンだからSEOと呼んでいますが、その手法よりも先に、この定義を覚えておいてください。
さて、第1回は以上ですが、SEOにはまだまだ間違った考え方があります。次回から検討するのは「1つのキーワードを選ぶ」という課題です。