自社の情報を集めることから始めましょう

ホームページのことなんて何も知らないのに、「今日からウェブ担当者だ」と任命されてしまった。他の仕事も担当したまま、その上にホームページの仕事が乗ってくるというのが普通です。勘弁してほしいというのが本音かもしれません。

そうは言っても、担当になったらやるしかありませんね。何から手を付けたら良いのか、ということから考えて準備していきましょう。

残念ながらたいていの会社で、前任者がいない、あるいは何も引継ぎがなかった、という形で新しい担当者が仕事を始めています。そのため、ホームページの担当者になったら真っ先にやらなければならないのは、

・ホームページに必要な情報をまとめる

ことです。とてもたくさんあるのですが、ホームページというのは、「ウェブサーバー」という、24時間ネットにつながれていて、読者から「このページが見たい」というリクエストが届くコンピューター上に載っていますから、まずはその情報がなければなりません。そこで、次の情報が手元にファイルされているかを確認してください。

1)ウェブサーバーの提供業者はどこか。その連絡先は?
2)サーバーの中身を見るために必要なアカウントはあるか?
3)ホームページのアドレスを決めている「ドメイン」の情報は?

まずはこれだけでも揃えてください。最初にホームページについての情報を収めるファイルを作成します。ひとまず20ポケットくらいのクリアファイルを1冊用意してください。そこに何でも入れていくようにしましょう。

(1)ウェブサーバーについて

多くの会社で、いわゆるレンタルサーバー業者からサーバーコンピューターのスペースを借りる形でホームページを運営しています。その場合には、

・レンタルサーバー業者がどの会社か
・業者の連絡先メールアドレス

真っ先にこの情報を確認してください。前任者が退社してしまった、管理を任せていた制作会社と関係が切れてしまった、といった事情でこの情報さえ分からないこともあります。たいていは社内のどこかにこの情報がありますから、何とか探してください。社内に情報システム部門があるなら、そこに聞き合わせれば何か情報が出てくるでしょう。

一部の会社ではレンタルサーバー業者ではなく、社内にサーバーが置かれ、会社の情報システム部門が管理している場合もあります。その場合も、情シスに聞き合わせて、「誰に聞けば情報が分かるか」をつかみます。

情報システム部門が管理しているなら、ホームページ担当は何も知らなくて良いではないか、と思うかもしれません。しかし、内容を更新するのはホームページ担当者の仕事ですから、それに必要な情報だけは手元に持っていなければなりません。

(2)サーバーの中身を見るために必要なアカウントはあるか?

サーバーにアクセスして内容を確認・変更するためには、「FTP」(エフ・ティー・ピー)という方法が一般に使われます。手元のパソコンに「FTPソフト」を入れてアカウントを設定すれば、ホームページのデータがある場所にアクセスできるようになります。

FTPとは、「ファイル・トランスファー・プロトコール」の略で、ファイルをやり取りする(トランスファー)のに適した約束事(プロトコール)という意味です。

言葉で書くと難しそうに聞こえるかもしれませんが、ソフトで「接続」というボタンを押すだけでサーバーの中につながって、不要なファイルを削除したり、ページ内容を書き換えたりできるようになるので、手元に置いておいてください。

サイトによっては、誰か技術の分かる人に委託して、ファイルの上げ下げをしてもらっていた場合もあります。「ページができたら情報システム部門に渡して、ホームページに載せてもらっていた」「全部制作会社に任せていた」という場合もあります。任せていた会社と関係が切れてしまったらFTPアカウントが分からなくなって、ホームページの内容更新ができなくなった、といって困っている会社もたくさんあります。

制作会社と関係が切れて、FTPアカウントが分からなくなった、という場合にはサーバー管理者(レンタルサーバー業者や情報システム部門)に聞き合わせて、必要なら新しく発行してもらうようにします。

FTP以外にもサーバーへのアクセス方法があります。FTPは手軽なのですが、セキュリティ上、少し心配な面もあるためです。サーバー管理者から「FTPではなく、この方法でアクセスしてほしい」と言われるかもしれません。

いずれにしても、聞き合わせていけば

・サーバーのネットワーク上の「場所」
・ID
・パスワード

などの情報が手に入りますから、二度となくさないようにファイルにきちんと収めてください。

このファイルには、今後、ホームページについての大切な情報をいくつも収めていきます。数年後にあなたが異動などで担当を離れることになったら、このファイルを後任者に渡すことだけ、お忘れなく。このファイルが引き継がれなければ、後任者がまた全く同じ情報集めから始めなければならないので大変です。

このファイルにはパスワードが含まれるのですから、管理はしっかりしなければなりません。飲み屋にカバンを忘れた、というようなことがあると、パスワードが他人に知られ、ホームページの内容を勝手に書き換えられてしまう危険があります。「うちのホームページくらい書き換えられても大した問題にはならない」なんて油断は禁物です。ひどい内容を勝手に掲載されてしまって、取引先との関係が悪くなる、ということもあります。くれぐれも注意してください。デスクやキャビネットなどの鍵のかかる引き出しに収めておきましょう。

FTPアカウントなども一度ソフトに設定してしまえば、普段は見る必要がありませんから、持ち歩かないようにします。

カタカナが多くていやだと思われているかもしれませんね。今回はこれくらいにしておきましょう。

このファイルにはもっとたくさん収めるべき情報があります。次回は「ドメイン情報」についてお伝えするようにしましょう。