解析を目的と思ったことは、ない。
直帰率、という言葉をつくったということもありますが、企業さんとの打ち合わせで直帰率についてよくこんなことを言われます。「1ページしか見ないで帰ったとしても商品に良い印象を持って帰ってくれたのなら問題ないのではありませんか?」。
まったくその通りです。直帰したから自動的に悪いわけではないし、10ページ見た人がみんなお客様になってくれるわけではありません。ホームページを改善して、直帰率が下がったからOK、ということはありません。本当に発生させたいゴールが生まれていなければ何にもならないです。
長らくアクセス解析をやってきましたが、考え続けてきたのは「Webのデータを見ることが自己目的化してはいけない」ということです。何が本当の目的なのでしょう? そこに切り込まなければ成果は出ない。だから私の仕事はどんどん経営コンサルティングに近づいてきました。
企業の良さを引き出し、顧客との出会いをつくる。
そこにこそWebの成功があるのです。
ECサイトを直す前に商品を見直す必要があるかもしれません。買った人の手元で商品がどう使われているかを考えなければリピート購買は増えません。
企業サイトで多いのは「この会社や商品のどこが良いのか?」が書かれていないこと。そのままではWebデザインをどうやり直しても意味がありません。たまたま今あるホームページのアクセスを分析しても意味がないと言えます。
もっと企業の良さを輝かせ、それを求める顧客と出会わせること。Webが成果が出る理由はそこにしかありません。そのためには会社と商品、その顧客とニーズ、競合社と商品などを見極め「道」を描いて顧客にその上を歩いてもらう必要があります。どうぞこちらへ—Walk this way! この全体こそ成果の出るホームページです。
株式会社ミルズの佐藤社長はこの分野では数少ない「経営とシステム」が両方分かっている商売人です。私の分析をあわせたら役立つものができると考えられます。そこで主任研究員という立場でジョインさせていただくことになった次第です。改めまして、よろしくお願いいたします。
94年に初めてログファイルというものを見て、テキストエディタで開いてログを読んでいたところが出発点です。以来23年以上。この分野で一番古いことだけは間違いありません。企業Web担当者さんの方が私のWeb歴より若いこともあります。
だけどまだ何もできあがっていません。これからです。また、ご相談にあがります。
主任研究員
石井 研二(いしい・けんじ)
1961年、神戸生まれ。雑誌記者/編集者や通販カタログ制作を経て、95年からWebプロデューサー。
当初からアクセス解析を駆使して多くのサイトを成功に導く。今やすっかり定着した「直帰率」の名付け親として知られる。著書に『アクセス解析の教科書』(翔泳社)『ガッチリ成果を出すWeb担当者の教科書』(技術評論社)『集客力を飛躍的に向上させるGoogleAnalyticsアクセス解析の極意』(秀和システム)『ウェブ立地論~“来てほしい人にアプローチする”集客につながる顧客目線のウェブの作り方 』(技術評論社)などがある。セミナー・講演も多数。