SEOやコンテンツ・マーケティングに欠かせないサイト構成表の役割
既存サイトのサイト構成表のつくり方を見てきましたが、今回はそれを完成することにしましょう。
今回の内容は重要です。また少し長くなりますがしっかり読んで方法をマスターしてください。と言うのは、サイト構成表がしっかり作成できれば、今のサイトでSEO対策を行う、コンテンツマーケティングを企画する、さらにはサイト内で訪問者をお問い合わせに誘導するといった施策を考えるのに役立つからです。
また、リニューアルをしようと思ったら、企画段階でまだ存在しないリニューアル後のホームページのサイト構成表を作成しなければなりません。構成表は、制作会社の見積金額を検討したり、各ページの作業進捗を管理するなど、リニューアル期間全体に必要なものです。
●サイト構成表では「どこに何が書かれているいるか」把握する
前回、45ページほどのサイトについて、サイト構成表を作成しました。その最初の部分を見ると、
No. 内容 URL
1 ホーム /
2 企業情報 /company/
3 会社概要 /company/outline.html
4 社長メッセージ /company/message.html
5 コンセプト /company/concept/
6 製品開発について /company/concept/development.html
といった形になっていました。これで一応、どこにどんなページがどれだけあるか、ということの把握には役立つのですが、「それぞれのページに何が書かれているか」まで把握したいところです。
どのページに何が書かれているか、を把握すれば、今後の検索対策などを有効に進めることができるでしょう。SEO対策を行いたいと考える企業サイトは多いですが、残念ながら「どのページにどんなことが書かれているか」分からないままキーワードを考えるので、既存ページに存在するキーワードを生かすことができなかったり、逆にぶつかってSEO効果を引き下げてしまうことが少なくありません。
また多くのサイトのSEO対策で課題となるのは、「ホームページに書かれていないキーワードで順位を上げようとする」という点です。それでは頑張っても成果が出るはずはないのですが、往々にして起こることです。
サイト構成表上には、ページタイトル、メタ・キーワードやデスクリプションといった、そのページの内容をしっかり記載することが大切です。
そのため、次のように項目を追加してください。
No. 内容 URL ページタイトル メタ・キーワード メタ・デスクリプション
1 ホーム / 金属加工のことなら●●株式会社 金属加工,へら絞り 精密な金属加工で企業の製品づくりをサポートする●●株式会社のホームページです。
エクセルに3つの列を追加して記載していきます。
ページタイトルやメタ・キーワード、デスクリプションというのがどうやったら分かるんだ、と思うところですね。その方法は、次の通りです。
1)ブラウザで実際にページを取得する
2)そのページ上にカーソルを置いて右クリックする
3)「ページのソースを表示する」を選ぶ
これで別タブが開いてそのページのHTMLソースが表示されます。HTMLソースというのは見慣れなければ「半角アルファベットがいっぱいで読めない!」という、ちょっと怖い姿をしていますが、見慣れれば、
<title>金属加工のことなら●●株式会社</title>
のように、普通の日本語テキストの前後に < > と </ > があるんだな、というパターンが見えてくるでしょう。上の例が「ページタイトル」を表すHTMLの書式です。
ほとんどの場合、HTMLソースの前半に登場しますが、細かい文字列の中から見つけるのは目が疲れますから、ソース画面で「Ctrl+F」の検索機能を使って、「title」という文字列を探してみてください。
<title>と</title>の間にある日本語がページタイトルと言って、ページが表示された際にブラウザのタブに小さな文字で表示される、目立たないけど重要な文言です。
各ページがどんな内容であるか、個別的に表記するのがページタイトルの仕事です。ページの内容を確実に表現しているので、そこに含まれるキーワードを検索エンジンは重視します。また、ここに書かれた文字列が、検索エンジンの検索結果画面では、紹介するページの見出しとして使われています。
<title>●●株式会社</title>
<title>企業情報|●●株式会社</title>
とだけ書かれたページタイトルでは、会社名で検索しなければ紹介されないホームページになってしまいます。仮に表示されても、あまり魅力的とは感じられず、検索者はクリックしてくれないかもしれません。
<title>金属加工のことなら●●株式会社</title>
<title>企業情報 金属加工ひと筋80年|金属加工のことなら●●株式会社</title>
といった記述にした方が、キーワードが含まれるし、検索結果に表示されたとき、検索者には魅力的に見えるかもしれません。
前回解説したように、サイト構成表を作成するにあたっては、各ページをブラウザで表示してURLをコピーしてきました。それと同時にページのソースも表示して、そこからページタイトル、メタ・キーワード、メタ・ディスクリプションなどの情報をコピーしてサイト構成表に取り込みます。
それぞれの書式は次の通りです。
<title>ページタイトル</title>
<meta name=”keywords” content=”キーワード1,キーワード2…” />
<meta name=”description” content=”デスクリプション” />
メタ・キーワードは、「,」(カンマ)で区切ってそのページに出てくるキーワードを列記するものです。
最近は「Googleはもうメタ・キーワードを順位決定に使っていないんですよ」と知ったかぶりをする人がいて、Googleが使わないからうちのサイトではキーワードは記述しない、というもったいないことをするサイトが現れました。
そんなもったいない。メタ・キーワードには本当にそのページで重視するキーワードを、1単語でも2単語でも良いので書き込んでおいてください。そうすれば、サイト構成表上にメタ・キーワードを記録しておいて、あとでどのページにどんなキーワードが登場しているかを判別することができるでしょう。
メタ・キーワードには、そのページの写真に映っている、商品の型番や社員の名前も入れておくと役に立ちます。商品が廃番になった場合、全部のページからその商品を消さなければなりません。その商品自体の紹介ページはすぐ見つけられますが、問題は他のページにイメージ写真としてその商品が映っている場合です。メタ・キーワードに品番の記載があれば、全体を検索してすぐに掲載ページを見つけ出すことができるのです。
社員も同様に、トップページでにっこり笑っていた社員が退職してしまった、といった場合です。採用情報やニュースなど、意外に社員はあちらこちらに登場しますが。各ページのメタに名前を入れておけば、これも検索して退職時に削除するなどの対応をたやすくなります。
私たちはGoogleのためにサイトをやっているのではありません。Googleが使わなくなったからと言って、メタ・キーワードを書かなくなるというようなもったいないことはしないでください。
メタ・デスクリプションの方は、ページの説明文です。これは検索エンジンが検索結果画面でページの紹介文として使うので重要です。そのページそのものを表す紹介文を記述しなければなりません。面倒だからといって全ページ同じデスクリプションにするのは「ルール違反」です。
タイトルとデスクリプションは検索エンジンの検索結果画面で、見出しと紹介文として使われます。
今さら聞けない!金属加工の種類と特徴、選定時の注意点 …
金属加工に注目し、加工工程の設計を行うために必要な基礎知識として、代表的な加工方法と
その特徴を紹介します。また、最近注目の新しい加工方法である(積層造形(3Dプリンター)
についても解説します。
これはGoogleで「金属加工」と検索して紹介されるあるページの検索結果表示です。
「今さら聞けない!金属加工の種類と特徴、選定時の注意点 …」という部分がページタイトルです。末尾が「 …」となっているのは、タイトルが少し長くて省略されてしまっているのです。実は省略されている部分にサイト名が書かれているのですが、省略されて誰だか分からなくなってしまっています。それでも検索者に興味を持ってもらった方が良いかもしれませんね。
そしてその下の本文にあたる部分が、メタ・デスクリプションです。これは適切な長さで、ページに記載されている全文が紹介文として使われていました。
ページタイトルやメタ・デスクリプションについて、
・必ずしも文字数制限はないが、表示される文字数は限度がある
・検索結果が魅力的に見えるように作文する
・そのページならではのキーワードを文の前半に織り込む
・社名まできちんと読ませたいなら短く収める
といった考え方が必要のようですね。
このようにエクセルのサイト構成表に、
No. 内容 URL ページタイトル メタ・キーワード メタ・デスクリプション
の内容がすべて埋められたら、サイト構成表は完成と言えます。
●さらに使いやすいサイト構成表にするために
今、URLのところは、
2 企業情報 /company/ 3 会社概要 /company/outline.html 4 社長メッセージ /company/message.html 5 コンセプト /company/concept/ 6 製品開発について /company/concept/development.html
のように、同じ「/company/」の部分が重複する形で書かれています。同じような英文字が並ぶのでちょっと読みにくいですね。
この形、実はGoogleアナリティクスで「すべてのページ」という項目で表示されるURLの形に合わせています。
そうしておくことで、Googleアナリティクスからとった全ページのアクセスデータを、サイト構成表に簡単に取り込んでまとめて評価することができるという仕掛けです。その方法はまた別の機会にご説明します。
URLの表記の方法は別の方法もあります。
ディレクトリ型
2 企業情報 /company/
3 会社概要 outline.html
4 社長メッセージ message.html
5 コンセプト concept/
6 製品開発について development.html
このように、同じディレクトリ(company/やconcept/)にあるファイルは1行目に代表させ、エクセルの列をいくつも使って段差をつけて並べていく方法があります。この方法で記載すれば、非常に見やすく、どの階層に何というディレクトリ(フォルダ)やファイルがあるのか、ファイルの関係性が良く理解できます。
リンク型
2 企業情報 http://www.yourdomain.co.jp/company/
3 会社概要 http://www.yourdomain.co.jp/company/outline.html
4 社長メッセージ http://www.yourdomain.co.jp/company/message.html
5 コンセプト http://www.yourdomain.co.jp/company/concept/
6 製品開発について http://www.yourdomain.co.jp/company/concept/development.html
全部にドメインを入れて、いわゆる「HTTP始まり」で記述すれば、エクセルファイル上で実際のページにリンクをはることができます。サイト構成表にリンクをはっておけば、「あれ、このページどんなページだったっけ?」という時、さっとクリックして内容確認に行くことができ便利です。
私は仕事で出会うほぼすべてのホームページでサイト構成表をつくりますが、際の際は上記の3つのURLの記述方法をすべて使います。そうすれば、
●ディレクトリ型で階層構造を理解できる
●リンク型でページを確認できる
●Googleアナリティクス型でページのアクセスデータを取り込むことができる
と3つの「できる」が実現するので、たいへん役に立つサイト構成表になります。
●SEO対策やコンテンツ・マーケティングを考える際に
さてこれから、SEO対策やコンテンツ・マーケティングをやっていこう、ということになったら、おそらく「キーワード」を考えるでしょう。どんな情報を探している顧客と出会いたいのか、を表すのがキーワードですから、これを考えることは大切なことです。
その際に必ず考えていただきたいのが、次のことです。
今のホームページでは、そのキーワードをどれくらい使っているだろう?
もちろんGoogleでサイト検索しても良いのですが、Googleがサイト上のページを全部認識してくれているわけではありません。そこで、サイト構成表で検索を行うのです。
サイト構成表にエクセルのフィルタをかけ、ページタイトル、メタ・キーワード、メタ・デスクリプションを重要キーワードで順番に絞り込んでいきましょう。
そうすると、「重要と思う言葉がサイトに意外に使われていない」ということが分かるかもしれません。「あれ、こんなところにも使っていた」と気付くこともあるでしょう。
絞り込んだ結果を1つの表にして一覧すれば、今後のSEO対策やコンテンツ・マーケティングでどんなページが必要か、考えることができるでしょう。
次回はいよいよ、リニューアルの企画として、これから作成するホームページのサイト構成表をつくる方法を考えていきましょう。